ここから本文です

恋愛に勝ち負けなんかない――。究極の片思い映画『愛がなんだ』原作者・角田光代インタビュー

4/16(火) 18:49配信

T JAPAN web

“痛すぎるほどピュアな片恋”に込めた思い

 4月19日公開の映画『愛がなんだ』で描かれるのは、好きになった男のため仕事も友達も自分自身さえもないがしろにしてしまう女ーー主人公のテルコだ。何しろテルコときたら、恋人でもなければ彼女を友人として大切にしてくれるわけでもない“マモちゃん”のためだけに生きているのだ。携帯が鳴ったときすぐ出られるよう、会社の電話は一切取らない。誘われれば、残業中だろうが、お風呂でシャンプーしていようが、速攻で駆けつける。「今ちょうど会社出るところ」などと嘘をついて。風邪でダウンしたマモちゃんのアパートに味噌煮込みうどんをつくりに行き、風呂掃除までしてあげたのに「帰ってくれるかな」と追い払われ、深夜に歩いて帰らなければならなくなっても、文句ひとつ言わない。

「そんな“オレ様男”やめときな」と親友の葉子に諭されるテルコだが…

 角田光代さんが映画の原作となる同名の小説を刊行したのは、2003年。『対岸の彼女』で直木賞を受賞する一年前のことだ。「『愛がなんだ』は2001年からウェブで連載した作品です。1990年にデビューしてから純文学の文芸誌を中心に書いていたんですけど、なんだか煮詰まってしまい、仕事の依頼も減って……。そういう時期に、『ダ・ヴィンチ』のウェブ版を始めると声をかけていただいた。だから、それまでの小説より、もうちょっと軽やかで読みやすいものを意識して書きました」

 小説を執筆する際、いつもテーマが先にあり、そのテーマに最もふさわしい登場人物や設定を考えるという。『愛がなんだ』の場合は「犬派」の恋愛だ。「ちょうどそのころ、つらい失恋をしたばかりで、友達とよく、女性を“犬派”と“猫派”に分けてしゃべっていたんですね。私自身は完全に犬派で、相手を好きになって振り回されてしまうほうでしたが、まわりにいた女性はみんな猫派。『バカねえ。私は振り回されたりしない。私が振り回すんだ』みたいなことを豪語するので、なんだかムカついて(笑)。それで、自分を全面的に明け渡すような恋愛しかできない、犬派の大代表みたいな女の子を書きたくなったんでしょうね」

1/2ページ

最終更新:4/16(火) 18:49
T JAPAN web

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事