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『刃牙』作者・板垣恵介が描く「フィジカルの天才が集まる世界」大相撲

4/16(火) 15:00配信

ゴング格闘技

相撲の押せない、つられない、見えない技術を描けたら

──好きな力士は?

「たくさんいますよ。白鵬関はひよっとして史上最強の力士かも……と思います。テレビで武蔵丸さん(元横綱、現武蔵川親方)と魁皇さん(元大関、現浅香山親方)の腕相撲を見たことがありましたけど、魁皇さんの腕力はすごかったですね」

──取材などで格闘技の選手と会われる機会も多いのでは。

「一番、分厚い手だったのが空手家の中村日出夫さん。垂木を手刀で切るというすごい手なのですが、朝青龍と握手をしたら、中村さんの手の厚さをらくらく超えていて驚きました。白鵬関をはじめ力士とも何人と握手をしましたが、みんなこの手なんだと。オレの握力の10倍くらいあって、手をクッシャと潰せるのではと実感しましたね」

──手刀に似ているかもしれませんが、張り手を得意としている力士も多いです。

「旭道山関はすごかった。掌底(しょうてい)突きで久島海関を倒しましたよね。あの技は立ち合い寸前で思いついたわけがない。きっと頭にあったはず。気のない感じで仕切って、立って倒したあと相手を見ようともしなかった。あの姿が色っぽかった……」

──板垣さんご自身の格闘技の経験は?

「高校で少林寺拳法を始め、陸上自衛隊に入隊してからは、ボクシングで国体に出たこともありました。ただ、ボクシングは階級制ですが、相撲は無差別級。相手との体重差が100キロ以上ということがあるわけですからそりゃあ、おもしろい」

──相撲のどういった面を漫画に取り入れたいと考えていますか。

「力士それぞれのフィジカルに加え、打たれる覚悟で向かっていった時の動き、見えにくい技術などを、どうやって取り入れていこうかと考えています」

──見えにくい技術とは?

「習志野の第1空挺(くうてい)団にいた頃、そこの“横綱”と呼ばれていた先輩と相撲を取らせてもらったことがあったのです。ちょっと組ませて下さい、といった感じで。その時、一番力が出るのはこの形か、こうすれば押されないのかといったように、やらせてもらったのです。そういった押せない、つられないといった見えない技術を描くことができたらいいと思っています」

──『バキ道』ではオリバが宿禰(すくね)氏にパンチをして「相撲にスタートはない」という場面があります。

「立ち合いで相手の虚をつこうとするところがおもしろい。一方で“相手”との呼吸を合わせて同時に立つわけで、大人の競技。あらゆる格闘技の中で1つだけ。わざと合わせないようにする技術もあるわけで、そこにフェイントもありそう。立ち合い1つ取っても奥行が深い」

──キャラクターを描くにあたってイメージしていることは?

「顔が大切。いい顔を描かなくてはいけない。貴景勝関はいいですよ。あの愛想のなさは。勝ってもべらべらしゃべらないのがいいですね。度胸がいいし、体が小さいのがまたいい。あの小ささで勝ち進んでいくにつれて、小さい力士が有利だと言う人まで出てきた。あの体形ではつかまえるのが難しいからと。勝っている時はどうにでもたたえられる」

──他にいい顔をしていると思う力士はいますか?

「松鳳山関もいいですね。あの人の決着のついたあとのふるまい、所作がかっこいい。高安関はフィジカルがすごい。最も人間離れしているように見える。横綱を期待しますよ」

──相撲界に望むことはありますか?

「青少年に言いたいのは、『(相撲は)今、おいしいよ』ということ。今、大鵬関、千代の富士関、貴乃花関がいたら国の英雄になれますよ。様々なプロスポーツと比べると決して高給ではないかもしれませんが、世の中から称賛され、リスペクトされる。10代の子供たちの中には身長190センチ台のフィジカルの天才がいるわけで、『あそこ(相撲界)は狙い目だぞ』と伝えたい。もしモンゴルを代表する外国勢の“天敵”になれたら国を代表する大英雄になれますよ」

──読者にどういうことを伝えたいですか?

「相撲を長期的に見てほしい。丁寧に見たら絶対におもしろいから。オレが仲良くなった人に相撲を勧めて、ハマらなかった人はいませんよ。相撲を覚えていくと『この力士は前回どうだった』とか成長が見えるようになって、それくらいまで分かってくると、絶対におもしろくなってきます」(聞き手・長山 聡)


◆板垣恵介(いたがき・けいすけ)
昭和32年4月4日、北海道釧路市出身。61歳。少年時から相撲をはじめ格闘技に興味を持ち、高校で少林寺拳法を始めた。20歳で陸上自衛隊に入隊し、ボクシングで国体に出場するなどした。除隊後、昭和57年に漫画を描き始め、平成元年に『メイキャッパー』でデビュー。同3年から週刊少年チャンピオンで『グラップラー刃牙』の連載を開始。その後、シリーズ第2部『バキ』、第3部『範馬刃牙』、第4部『刃牙道』が人気を博し、現在は第5部『バキ道』を連載している。

◆グラップラー刀牙(グラップラー・バキ)
平成3年から『週刊少年チャンピオン』で連載がスタート。地下闘技場の最年少チャンピオン範馬刃牙と、刃牙の父で地上最強の生物と謳われる範馬勇次郎を中心に、様々な格闘家との闘いが描かれている。『バキ』、『範馬刃牙』、『刃牙道』、『バキ道』をはじめとするシリーズの発行部数は2018年の時点で累計7500万部という大ヒットとなっている。

◆大相撲ジャーナル
板垣恵介 独占インタビューが掲載された『大相撲ジャーナル』3月号(株式会社アプリスタイル発売)。最新号は5月2日(木)発売予定。大相撲「五月場所」は5月12日(日)に両国国技館にて初日を迎える。

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最終更新:4/16(火) 15:00
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