ここから本文です

岸田繁インタビュー【後編】“役者の一つ”として送り出す音楽制作で出合う“新しい発見”

4/16(火) 20:10配信

otocoto

危険な香りがしつつも惹かれる?最近、改めて気になる人

――最後になりますが、岸田さんが影響を受けた本や映画やミュージシャン、または最近気になるものがありましたら教えてください。

たくさんあるんですけど、最近気になるのは、つげ義春さん。先日、フランスでつげさんの作品がにわかに盛り上がってるという話を聞いたんですよ。僕も昔、「ねじ式」という分厚い漫画本を持っていたんですけど、東京に住んでいた頃、大雨の日に家が浸水してシワシワになってしまって……。その漫画本がすでに絶版されてるやつだったので、うそや! と思って、結構落ち込んで。それ以来、自分の中のつげが終わった、みたいな(苦笑)。それが最近まで続いてたんですけど、フランスでの話を聞いて、もう1回読んでみようかなと思ってます。

僕はもともとは水木しげるさんがすごく好きで、その水木さんのアシスタントを、昔つげさんがされていたことがあるんです。で、水木さんとつげさんって、つげさんのほうが変わった人というか。きっと水木さんも変わってるんやろうけど、僕の中では水木さんのほうがメッセージが明快という印象なんです。逆につげさんは、何を考えているか全然わからんっていうか。作品を読んでも、その世界観はわかるけど、そこに何かの感情とかメッセージがあるかというと、すごく複雑で。深入りするにはちょっと危険な香りもしつつ、それでもやっぱり惹かれる部分があるんですよね。

――危険を察知しつつも惹かれるというのは、もしかしたらつげさんと岸田さんが似ているからこそとも思ったのですが、いかがですか?

やっぱり、自分がやってることでも自分で説明しきれへんような、何でこうなんやろう? と思うこと、あるいは、自分の中で辻褄が合わないんだけど、どうしてもそうなってしまうみたいなことってあるんですよね。例えば、人に優しくしたいのに、結局その人を傷つけてるようなことがあったりするじゃないですか。本意じゃないけれども、そうなってしまうみたいな。つげ作品はそういうのでしかない。それに対して、すごく嫌やなと思う部分と、自分もそうだと思ってる部分があって……。つげ作品を読むと、自ずと自分自身の創作であったり、嫌な部分であったりに向き合うことになるので、そういうところに興味があったりします。

取材・文/片貝久美子

3/3ページ

最終更新:4/16(火) 20:10
otocoto

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事