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統一教会イベントで2世信者を激励した議員に「信者運動員使用」疑惑浮上。本人を直撃<政界宗教汚染~安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第9回>

4/16(火) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

 前回触れた統一教会2世信者激励代議士による17年衆院選での信者運動員使用疑惑。18年4月、練馬区議補選で元秘書の選挙応援を行う当該国会議員に直当て取材を行った。

⇒【画像】菅原一秀議員のノボリ。肩書の誤字が風になびく

 今回はその様子についてリポートしたい。

◆「与党筆頭理事」への更なる疑惑を追及

 この時期、衆院予算委員会の与党筆頭理事として最前列に陣取り、質問に立つ野党議員に野次を飛ばしていたのが自民党・菅原一秀議員だ。前々回触れたように菅原は2017年11月3日、永田町の星陵会館で開かれた統一教会・家庭連合の2世信者組織・勝共UNITEのイベント『改憲2020実現大会』に、ゲストスピーカーとして登壇し信者を激励した代議士である。

 安倍内閣で厚生労働大臣政務官・経済産業副大臣・財務副大臣を歴任してきた菅原の地元練馬と国会の両事務所に、同改憲大会参加の経緯や教団との関係、支援の有無を質すFAXを送信したが、回答は得られていなかった。

◆練馬区議補選に元秘書が出馬

 18年4月15日、東京都練馬区で区長選挙と区議会議員補欠選挙が行われた。筆者が注目したのは、菅原の私設秘書を4年、公設秘書を10年務めた柴田幸子(さちこ)が立候補した補選だ。

 筆者の質問書FAXが黙殺された経緯を、当時、菅原の練馬事務所の公設秘書だった柴田が知らないはずがない。筆者が菅原の練馬事務所に電話した際に応対したのも柴田だった。

◆2017衆院選で統一教会信者を運動員として使用か

 選挙運動を展開する柴田の動向を追う過程で、菅原の地元事務所の内情を知る事情通から決定的な情報を得た。17年10月の衆院選の際、菅原が統一教会の青年信者を運動員として使っていたというのだ。

 疑惑の運動員に関しては「4~5人のスーツを着なれていない感じの若い男性たち」「地域の人ではないことは明らか」「それまでにいなかった人たち」などと、他の陣営や区民からも違和感を指摘する声が挙がっていた。選挙戦終盤、石神井公園駅に麻生太郎副総理が菅原の応援に来た際も、この運動員たちが目撃されていた。

◆見返り疑惑の追及に、元秘書は「無関係」

 UNITE改憲大会での激励は衆院選での信者運動員派遣への見返りとして行われたのか。当事者への直当て取材を行った。

 練馬区議補選の選挙期間中の4月11日、大泉の選挙事務所近くで柴田を直撃取材した。

 柴田は、筆者からの質問書FAXについては「いろいろ抱えちゃって覚えてない」菅原の統一教会2世改憲大会への出席も「その時期、選挙の収支報告書を、がんがんやっていて……」と、これも覚えがないという。衆院選で統一教会信者運動員を使ったとの疑惑については「それは全然ない。私が人員とか手配していたから。無関係です」と、きっぱり否定してみせた。運動員の素性については「(菅原が)早稲田の早実なので野球部」と答え、他陣営からの指摘を「そう結びつけけたいんじゃないですか」と一蹴した。

 柴田の選挙スタッフをしていた菅原の練馬事務所の男性秘書に、衆院選の運動員として統一教会信者が参加していたかを訊くと「関係ないですね」しかし、運動員の素性については「自分もわかんないですけど、菅原の繋がりで」曖昧な返答に。「わかんないんだったらどういう人かも判らないのでは? 統一教会信者だったかもしれない」との指摘に「どういう人かわかんないっていえばわかんないですね」と言葉を濁した。

◆疑惑の代議士を直撃

 翌日23時半、柴田の応援を行う菅原を大泉学園駅改札前で直撃した。

 声をかけると笑顔を向ける菅原議員。次第にその表情は曇っていく。筆者からの質問書を「見てない」UNITE改憲大会への出席については「憲法改正、結構いろいろ出てますけど」とごまかした。統一教会2世信者による改憲大会だったとの指摘にはこう探りを入れてきた。

「え?そうなの? 僕、そこは出てないと思う。そういう人たちがいるとすれば。なんか証拠あります?」

 そこで、同じく改憲大会の登壇者だった保守系タレント・吉木誉絵が「菅原一秀先生がゲストスピーカーとして臨席」とツイートした画面を見せると「吉木さん? わかんないな」同席した筈の吉木の記憶がないという。

「統一教会!?全然、関係ないですよ。勘弁してください」

 当初は笑顔を見せていた菅原だったが、次第に顔つきが強張っていく。「星陵会館って国会の裏でしょ?記憶ないですよ、講演してないです」国会で野次を飛ばす際に見せる威勢の良さは消え、しどろもどろに。

 衆院選での統一教会信者運動員使用疑惑には「1万パーセント関係ないですから。私、そういうの嫌いだから。宗教団体は嫌い」と完全否定しつつも慌ててこう取り繕った。

「公明党は応援してもらってますけど」

◆菅原の秘書「自民党に統一教会や勝共連合の秘書多い」

 隣りの石神井公園駅で柴田の選挙運動をしていた菅原の国会事務所秘書にも当てた。前年の衆院選時、萩生田光一の事務所にいたという秘書に「自民党には統一教会や勝共連合の若手が秘書として入っているの?」と訊くと、自身の宗教絡みを否定しつつも「多いですね。そういうところがルーツの人は政治に関わりたい人が結構いる」と認めた。

◆衆院予算委与党筆頭理事を再直撃「野球(部)も来てない」

 前日の柴田の返答との整合性を確認するため、再び大泉学園駅に向かい菅原を直撃した。

 選挙運動員の男性たちの素性については「その辺の町会の」と回答。柴田の返答にあった「早稲田実業」「野球部」について確認すると「ラグビーは来てないです」「野球も来てない」そこで衆院選の運動員は野球部やラグビー部の人たちではないのかと改めて質すとこう明言した。

「野球部とかラグビー部じゃないね」

 元秘書の柴田との説明との食い違いが露呈した。

◆菅原は完全無視、元秘書は「記憶違い」

 やや日刊カルト新聞にここまでの経緯を記した記事『教団イベント参加&信者運動員疑惑の自民党・菅原一秀衆議院議員「10000%ない」「宗教団体は嫌い」統一教会との関わりを完全否定』を掲載し、選挙戦最終日の14日夜、改めて菅原と柴田を直撃した。

 張り込んでいた柴田の選挙事務所前で支援者への挨拶を終えた柴田と菅原が選挙カーに乗り込む姿を確認し追尾。大泉学園駅前で二人が車から降りたことを現認。

 大泉学園駅改札口周辺で最後の駅頭選挙活動をする柴田に声をかけた。菅原の所在を問うと「一緒じゃないです」見えすいた嘘を吐く柴田。

 そこに一緒じゃなかったはずの菅原が現れた。視界に筆者の姿を認めた途端、険しい表情になる代議士。声をかけたが視線すら合わせようとしない。完全無視だ。

 柴田が菅原に「エイトさんです」と告げるも、一切筆者の存在など気に留めない風を装う。携帯電話を車に取りにいくという柴田が立ち去った後、改めて菅原に話しかけたが、何ら反応を見せない。

 菅原は声をかけてきた年配婦人たちには笑顔で応えていたが、筆者には一瞥もくれない。秘書へ大泉学園駅北口階段下に常設してある選挙幟を直すよう指示する菅原を改めて呼び止めた。秘書が菅原に「あの人が呼んでますよ」と進言したが、一顧だにしないまま、去っていった。

 同駅南口ロータリーに停めた選挙カーの脇で、再度柴田へ食い違う証言について尋ねた。一瞥後、菅原と同様に無視を決め込み、背中を向けたまま答える柴田「それじゃあ、いつの話だろう?去年じゃないのかもしれない。何年間もやっているので。記憶違いかもしれない」変化していく元秘書・柴田の証言。あっさりと前言を翻した。

 定数5に10人が立候補した同補選は結局、自民党の公認を受けた柴田が2位の立憲民主党の女性候補に大差をつけトップ当選した。

●菅原議員と元公設秘書への直撃取材動画

◆菅官房長官が手配か

 追及を受けるとその場しのぎの姑息な言い逃れをする菅原に統一教会信者を運動員として斡旋したのは誰なのか?思い浮かぶのが、無派閥の菅原の後ろ盾とされる菅義偉官房長官だ。国会議員選挙に立候補歴のある菅原の父親と同郷である菅は、菅原に目をかけているとされる。

 長年、自民党の選対に関わってきた菅に関しては、これまでにも同教団との裏取引疑惑を指摘してきた。菅原を巡る一連の疑惑には、昨秋の衆院選でも菅原の出陣式に駆け付けた菅の差配があったのではないか。

菅原や元秘書が苦しい嘘を吐き通さねばならない背景に菅官房長官の存在があるとすると、政治家としての菅原が向き合うべきなのは誰かということになる。それは有権者・国民であるはずだ。

◆地元の大規模祭りを占拠する「自民党」と「菅原一秀」の幟

 2018年4月22日、石神井公園周辺で練馬区の二大祭りの一つである『照姫まつり』が開催された。会場入り口数か所には「自民党」「菅原一秀」の幟と菅原の宣伝板が立てられ、菅原の秘書が「命を守る政治」と書かれたカードを配布していた。会場内での政治活動を禁じた同イベントを管轄する区の職員も「今回はやめてくださいといったのですが……」と困惑顔。

 区議補選でも、演説者や運動員がいないにもかかわらず、主要駅周辺で選挙幟を設置したままにしていたことも確認されている。他の陣営によると、菅原がかかわる選挙では、わざと幟を置き忘れるという。実際に筆者も何度となくそのような光景を目にしている。地元で我が物顔に振る舞う菅原陣営に対し、道義的責任を問う声も挙がっている。

 そして今年の統一地方選、選挙幟を意図的に撤去し忘れるのはいつもの菅原陣営の常套手段だが、気付いたのは誤植だ。

 菅原の肩書きが「衆議院議院運営委員会筆頭理事」とすべきところを「衆議院議員運営委員会筆頭理事」と誤って印字していた……。

 次稿では、2017年後半から18年にかけて統一教会・国際勝共連合が行った「家庭教育支援法」制定を目論んだ策動について記す。(文中敬称略)

<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:@cult_and_fraud>

すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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最終更新:4/16(火) 8:33
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