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韓国は財閥の「世襲経営」容認を続ければ、ますます国際的に孤立する

4/16(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● トップ死去で先行き懸念が 高まってきた韓進グループ

 4月8日、韓国10大財閥の1つ、韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が急逝した。トップ死去を受け、先行き懸念が高まってきた韓進グループの経営は一段と難しい局面を迎えている。

 韓進グループの中では、傘下の大韓航空の経営が悪化している。最大の原因の1つは、経営トップをはじめ主要なポストが「世襲」によって選ばれてきたことにある。

 元々、韓国では企業を「社会の公器」ではなく、「家業」とする考えが強い。そのため財閥企業では、創業者から子へ、子から孫へと経営権が手渡されてきた。創業家は利権を守るために政財界とも強固な関係を築いてきた。

 韓国は、この経営風土をこれまで放置してきた。世襲経営が続くと、創業家一族に富と権力が集中してしまう。経営者は公正な経営ではなく、私欲を追求し、モラルハザードが起きがちになる。その弊害の1つの例が、趙会長の娘が起こした「ナッツリターン事件」だ。

 韓国は、早い段階で世襲経営の改革に取り組むべきだったが、実際にはできなかった。現在、韓進以外の財閥企業でも、国内外の機関投資家が世襲経営への反対を表明している。今後、財閥企業などが世襲や縁故ではなく、「資本の論理」に基づいた改革に本気で取り組むか否かが、韓国の将来を大きく左右することになる。

● 難しくなる 韓国財閥企業の「世襲経営」

 伝統的に、韓国の経済では、「資本の論理」ではなく、「血縁」をはじめとする「縁故」が重視されてきた。新卒者の採用や経営者人材の発掘に関しては、人柄や経営の実力ではなく、創業家出身であるかといったことが優先されてきた。財閥企業だけでなく、ソウル交通公社などにおいても縁故に基づく採用が行われ、世論の反感を買っている。

 エレクトロニクス大手LG電子などを傘下に収めるLGグループでは、長子相続が不文律とされている。2018年に具本茂(ク・ボンム)会長(当時)が急逝したことを受けて、LGは同氏の養子であり経営経験のない具光謨(ク・グァンモ)氏をトップに選任した。手腕が未知数の人物がいきなり経営トップに就くことに不安を覚える市場参加者は多い。

 見方を変えれば、財閥企業の創業家一族は、大企業の経営を思うがままにコントロールできるだけの権力を維持し続けてきた。これは、先進国経済においては考えられない事態だ。

 韓進グループでは、世襲経営の弊害がとみに顕在化している。傘下の大韓航空では、顧客離れから業績が悪化し続けている。故趙会長の長女による「ナッツリターン事件」、次女が会議で水入りのコップを従業員に投げつけた問題に加え、妻による従業員への暴行問題などは、いずれも許されるものではない。

 それがわからないほど、財閥企業創業家の感覚は一般社会から遊離してしまっている。

 創業家一族の傍若無人なふるまいに対して、世論や顧客が腹を立てるのは当然だ。3月下旬に開催された大韓航空の株主総会では、韓国の機関投資家の反対などを受けて、趙氏の取締役再任が否決された。財閥全体のトップとして再建を主導してきた趙会長が失意のうちに亡くなり、韓進グループはどのようにグループ企業の経営を立て直すかという大きな問題に直面している。親族は十分な議決権を確保できていない。事業継承も進んでいない。

 韓進グループは漂流している。同グループが自力で経営を安定させることができるか否か、先行きはかなり不透明だ。それは、世襲経営の限界を示している。

● 早い段階の改革が 必要だった韓国の財閥

 韓国は、もっと早い段階で財閥企業の解体など、改革に着手すべきだった。しかし、政府は“目先の成長”を重視するあまり、財閥改革に本腰を入れることができなかった。雇用や所得への影響を考えると、韓国政府は財閥企業に依存した経済運営を続けざるを得なかった。

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