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逆風吹きすさぶ原発事業の風向きは変わるか

4/17(水) 12:21配信

Wedge

 今年1月日立製作所は、英国ウィルファ・ネーウィズ(ウィルファ)原子力発電所の建設計画及びオールドベリー原発に関する作業について凍結すると発表した。この背景には英国政府との交渉の結果、日立が満足する条件が得られなかったことがある。

 電力市場が自由化されている英国では、投資額に見合うだけの電気料金・収入が将来得られるか不透明だ。市場に任せたのでは、将来の収益見通しが不透明な発電設備を誰も建設しなくなり、電力供給が不安定になる。このため、英国政府は再生可能エネルギーと原発については発電された電気を固定価格で買い取る制度を導入し建設の支援を行っている。

 ウィルファ原発については追加の支援策も用意されたが、それでも日立にとっては事業推進を決断するには不十分だった。

欧州で吹く原発への逆風と北米で吹く追い風

 最近の欧米の原発建設では当初計画より投資額が膨らみ、工期が遅れることが相次いでいる。原発のように、当初の投資額が巨額であり発電コストの大半を投資額が決める場合には、投資額増大が収益にもたらすリスクは大きくなる。英国政府が日立に提示した条件の概要を見ると、投融資に関する補助、固定価格の買取価格は提示されているが、建設費の増大と工期の遅れに伴うリスクは反映されていなかったようだ。

 即ち、工期が遅れた場合には発電された電気の買取期間が短くなる、あるいは最悪、買取契約が解除されるリスクを建設主体が負うことになる。工費の増大は当然収益に悪影響を与え投資企業の存続にすら大きな影響を与える可能性がある。両リスク共に大きく、事業者が負うには、フランス、中国のように国のバックアップがないと難しいかもしれない。

 英国では、日立の計画凍結により将来のエネルギー供給に関する懸念の声も出ているが、現在、仏EDF(フランス電力)と中国CGN(広核集団)が建設中の原発ヒンクリー・ポイントC(172万kW)の建設計画に関しても、工費増大と工期遅延に関する懸念の声があり、原発建設計画の不透明化によりエネルギー供給に加え、温暖化対策への影響が生じるとの指摘も出ている。

 EUレベルでも逆風が吹いている。昨年5月、EUでは欧州委員会が持続可能なファイナンスに関する法制度整備案を提出したが、今年3月欧州議会は持続可能なファイナンスの定義に化石燃料、天然ガスのパイプライン、原子力は含まれないと決定した。今後EU閣僚理事会で議論されることになるが、合意されれば原子力発電への投融資に制限が課せられる可能性が出てくる。事業には逆風だ。

 その一方、米国では今年1月国境の壁建設を巡り連邦政府機関の閉鎖が行われるなど共和・民主両党の対立が激化するなかで、両党が小型原子炉(SMR)など新型炉支援の法案を支持し、成立させた。さらに、現在ジョージア州で建設中のボーグル原発3、4号機(125万kW x 2)に対する政府保証額の増額も行われた。欧州でも、工期が遅れていたフィンランド・オルキルオト3号機(172万kW)、仏フラマンビル3号機(175万kW)が、来年に商業運転を開始するとの見通しも出されるなど、追い風も多少吹いている。原発への逆風の風向きは変わるのだろうか。

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最終更新:4/17(水) 12:21
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