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本当は重要な副大統領ポスト、映画「バイス」にみるその実像

4/17(水) 12:30配信

Wedge

職務多様化が重みもたらす

 大統領を超える存在として描かれたチェイニー氏のケースは別としても、近年になって政府の職務が多岐、多様化し、副大統領が多くを担う傾向が強まっている。そのことも副大統領職に重みを加える理由の一つになっているようだ。

アル・ゴア氏は環境、高速通信といった新な政策分野を担当、実質的な「首相」(米国に首相はいない)に例えられた。少し古いところでは、1978年、カーター大統領の仲介で実現したイスラエルとエジプトの歴史的なキャンプデービッド合意において、モンデール副大統領が大きな役割を果たしたという。

 副大統領に与えられた数少ない公式職務のひとつに「上院議長」がある。法案の採決が賛否同数になったときに、副大統領が裁決する制度で、その機会は希であるようにみえるが、決してそうではない。

 最近では2017年2月、トランプ政権の発足直後、教育長官の指名承認人事が賛否50―50の同数となりペンス副大統領の裁決で承認がきまったし、2001年にはチェイニー副大統領が、可否同数になった議案7件について、それぞれ裁決している。

バイデン出馬でさらに関心高まる?

 トランプ政権を揺るがす“ロシア・ゲート”の捜査に関連して、トランプ大統領の弾劾が現実になれば、ペンス副大統領が昇格するため、米国内で最近、副大統領職が注目されてはじめている。「トランプ関与の証拠みつからず」というミューラー特別検察官の捜査報告で、弾劾の動きは下火になったが、一方で、オバマ前政権(民主党)の副大統領、ジョー・バイデン氏が、来年2020年の選挙への出馬に強い意欲を見せている。そうなれば、やはり元副大統領の表舞台への登場だ。

 「副大統領」―。今後の米国政治の動向次第で、この微妙かつ困難、たぐい希なポストへの関心がさらに高まるかもしれない。

樫山幸夫 (産經新聞元論説委員長)

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最終更新:4/17(水) 12:30
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