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30代に絶望しない「ビリギャル」に、聞いておきたいこと──前編:「ビリギャル」を生きる希望

4/17(水) 20:14配信

GQ JAPAN

累計120万部のベストセラーのモデルとなった“ビリギャル”本人による書き下ろし『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』(小林さやか著・マガジンハウス)が3月28日に発売された。元ギャルで慶應大学卒業という似た経歴をもつ作家の鈴木涼美が、著書のビリギャルに訊いた。

【動画で見る!鈴木涼美と著者・小林さやかの対談】

「ビリギャル」を生きる希望って?

担当の塾講師が書いた書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は大ベストセラーになり、映画もヒットした「ビリギャル」。そのモデルとなった現実界の女性が小林さやかである。彼女が、「伝えたいことはずっとまとまってあったから、書き出したら止まらなくてほとんど3日くらいで書いたかも」という新刊のタイトルは『キラッキラの君になるために』。彼女自身はかつての彼女のように、これから人生を生きていく10代の若者に向けたものだと話すが、実は、このタイトルに心が折れたりドン引きしたり鼻で笑ったりしがちな人ほど手に取る価値のある本だ。

先生側の視点で紡がれた『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』に対して、新刊は受験のことや受験より前の生活のこと、大学に入った後やビリギャルとしてブームになった渦中のこと、そして今の彼女のことが、すべて彼女の記憶や考えに基づき、彼女の目を通して書き綴られる。

かといって、ブームになった「ビリギャル」の中身は全く違う物語であるとか、ブームになった際の苦しかった側面などを暴露的に描くような箇所は皆無で、彼女は「ビリギャル」のイメージを内側から決して打ち壊さず、むしろ多くの読者が知っている彼女の受験のサクセスストーリーをさらに強化するように突き進む。

それだけでも、彼女自身が、私たちが想像するよりずっと逞しく、クレバーで、強い女性だと示すには十分なのだ。人が他人について語るとき、そこには必ず小さなズレや違和感が生じる。人間は言語の範囲内で存在するわけではないから当然なのだけど、多くの人が、外的なイメージと自己認識の間にあるそのズレを埋めたい欲望にかられる。

安室奈美恵が「だけど私も本当は強くないから」と歌った時に、当時の女の子たちが強く共感したのは、「みんなが思っているほど私はすごくない」「みんなが思ってるほど私はバカじゃない」「みんなが思ってるよりずっと傷ついた」「みんなが想像できないくらい苦労した」「本当は悩みがあるのにみんなわかってくれない」というのが、誰もが当たり前に持つ「わかってほしい」の欲望の根幹にある気分だからだ。

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最終更新:4/17(水) 20:14
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