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池上彰氏が解説「『学歴社会の日本、実力主義のアメリカ』は正しいのか?」

4/17(水) 6:00配信

文春オンライン

Q 裏口入学のメリットは?

 アメリカで人気女優などを含む40人以上のセレブや大手企業の関係者が、大学入試での不正に関わったとして訴追されました。高額のお金を払って裏口で有名大学に入ろうとするメリットは何なのでしょうか?(20代・女性・会社員)

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A アメリカは学歴社会であり、学校歴社会でもあります。

 教育をめぐる俗論に、「日本は学歴社会だが、アメリカは実力主義」というものがあります。しかし、実態は異なります。

 日本は学歴社会ではなく「学校歴社会」です。どこの大学を出たかが重視されますが、大学院を出ても就職に有利にはなりにくいのです。これは言葉の本来の意味の「学歴社会」ではありません。

 一方のアメリカでは大学中退でビジネスを興した人もいるので「実力本位」と思われていますが、こういう人はごくわずか。

 アメリカは学歴社会であり、学校歴社会でもあります。高校卒と大学卒では、就職に当たって大きな差が出ます。さらに四年制大学を卒業しただけでは、なかなかエリートコースに進めません。トップレベルに行くには、大学院の修士あるいは博士まで進むのが一般的になりつつあります。これこそ本来の意味の「学歴社会」です。

 また、学校歴社会でもあります。ハーバード大学やスタンフォード大学を出ていると、社会的評価が高まります。ニュース週刊誌『UEニュース&ワールドリポート』は、毎年「大学ランキング」を発表し、これが人気の企画になっています。各大学は、ここでのランキングを上げようと努力しています。

 こうしたランキングで上位の大学を出ると、就職でも有利になるのです。

 ドナルド・トランプ大統領の無礼で無教養な振舞いに顔をしかめる人は多くても、彼がペンシルバニア大学を出ていることから、「一定の知識と教養を備えているのだろう」と人々は見てきたのです。

 実はトランプは、ニューヨークの私立大学に入学後、ペンシルバニア大学に編入するという奥の手を使っています。そこで今回の事件をきっかけに、「トランプの父親も大金持ちだった。ひょっとして……」という疑惑が浮上しています。

 今回問題になったセレブたちも、自分の子どもが有名大学に入れれば、鼻高々。こんな点は、日本と変わりません。

 ですから、日本でも過去には裏口入学が横行したことがあります。が、当時大きな問題となり、入試が厳格になりました。

 一方アメリカは学力以外の面でも選考するというルールを定めている大学が多く、その盲点を突かれたのです。

池上 彰

最終更新:4/17(水) 6:00
文春オンライン

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