ここから本文です

アジアの大国で注目の選挙 インド総選挙/インドネシア大統領選

4/17(水) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

インドネシア大統領選は、一騎打ちの戦い

さて、インドからインド洋を東に向かったインドネシアでは、大統領選の投開票が4月17日に実施される。ジョコ・ウィドド大統領と最大野党を率いるプラボウォ・スビアント氏が一騎打ちで対決する前回2014年の大統領選挙と同じ構図である。こちらの選挙は、インドとは異なり、即日で投開票される予定である。

ジョコ大統領は貧しい家庭の出身で、たたき上げの政治家という経歴である。選挙戦でも、自身がインドネシアで初めて格差社会に手をつけ、貧困の問題に取り組んだ初めての大統領だと訴えてきた。また、ジャカルタ州知事だった頃に取り組んだ改革への世論の評価や、過去5年間のインフラ整備や規制緩和の実績をアピールしてきた。肝いりのプロジェクトだったジャカルタの都市高速鉄道(MRT)も3月に開業に漕ぎ付け、他にも新たに整備した道路などの視察を重ねて、実績としてアピールするなどしたたかな戦いぶりである。

一方で、主に保守派を中心に、イスラム教の教義を尊重しないと批判をうけている。また、ジョコ大統領の主張する調和ある民主主義や「多様性の中の統一」を繰り返し求める姿勢は物足りないとされてきた。今回の大統領選では、副大統領候補にイスラム教指導者を担ぎ出し、保守派の取り込みを図っている。

プラボウォ氏は、イスラム色を前面に押し出して選挙戦を展開してきた。集会も、一部の強硬なイスラム主義グループと連携し、夜明けの礼拝を支持者と一緒に行って始まり、集会中はイスラム教指導者が次々に応援演説する段取りで「イスラム教徒のインドネシア人に最もふさわしいリーダー」であると訴えてきた。

経済面では、現状をインドネシアの富が外国や一部エリート層に奪われている危機状態にあるとして、排他主義とも受け止められかねない主張を訴えてきた。経済政策では、最大8%の減税や重要インフラ整備に力を注ぐことで成長をてこ入れすると約束している。

かつて軍幹部として反政府活動家らの抑圧に関与し、軍籍を剥奪された過去もある政治家だが、物価上昇や就職難に不満を募らせる若い世代層を中心に支持を広げている。

インドネシアの2018年の実質国内総生産(GDP)成長率は5.17%だった。これはジョコ政権が誕生した2014年以来最高の伸びである。ただこの成長は、ジョコ政権が実施した公務員賞与の増額や元公務員の年金受給者にも賞与を支払った財政出動による個人消費支出の増加が主因だった。インドネシアの労働人口の約4%にあたる約450万人に対して、総支給額は35兆ルピア(約2700億円)にも達した大規模な財政出動だった。

大統領選を意識した選挙対策の色彩が強い財政政策であり、バラマキ政策であると批判の対象にもなっている。財政の歳入不足は言うまでもなく、こうした財政支出が続けられるものではない。成長率はジェコ政権下最高を記録したが、インドネシアへの海外直接投資額はジョコ政権下で初めて減少に転じた。持続可能な成長戦略が描けているかという視点では、心許ないと言わざるを得ない。

インドネシアは2017年のデータでは、経済規模で世界16位となり、G20にも名を連ねる東南アジア最大の経済大国である。埋蔵資源も豊富に有り、人口も2億6千万人と多く、2050年にはGDPで世界5位以内に入る大国に成長するとの予測もある。こうした予想図からは、今後も成長が継続することへの期待は根強い。しかし、外国企業・投資家は、大統領選挙後の政権運営と今後の成長戦略の見極めをしたいとの心理が働いている状況である。

前回選挙では、僅差での争いだった。今回は、大半の世論調査では、ジョコ大統領が現職の強みを背景に優位を保っている。ただ、世論調査の信頼性は高くなく、接戦になった場合は、開票結果に異議が唱えられるリスクが指摘されている。ジョコ陣営が勝利しても、票差がわずかであれば、ジャカルタなどでイスラム教保守派が大規模な抗議活動を起こすこともうわさされている。

長谷川 建一

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) CIO

長谷川 建一

2/2ページ

最終更新:4/17(水) 11:36
幻冬舎ゴールドオンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

富裕層・企業オーナー必読!「知識武装し、行動する」ためのWEBメディア。「資産防衛」に関する最新情報とノウハウを配信!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事