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米国で続く「店舗閉鎖」が大問題ではない理由

4/17(水) 14:30配信

Forbes JAPAN

米調査会社コアサイト・リサーチは先ごろ、今年4月上旬までに国内で閉鎖された店舗の数が、すでに昨年中に閉鎖された店舗数を上回ったとする調査結果を発表した。

これは大きなニュースだ。これまで小売業界の売上高と販売に利用できる面積の拡大・縮小には、常に相関関係が見られた。そして、その関係の変化は常に、経済情勢の先行きを占う明確な指標となってきた。米紙ニューヨーク・タイムズはこの調査結果を、経済面で大きく報じた。

だが、大量の店舗閉鎖が一体何だというのだろう? ここ数年の小売業界の変化は、販売と店舗面積の関連性をかつてないほど弱いものにしてきた。

店舗数の減少が販売できる商品数の減少を意味するのは確かだが、それは必ずしも、以前のように小売業界の状況を示すものではなくなっている。実際にここ数年で数万の小売店が閉鎖してきた一方で、売上高は増加してきた。

現在の店舗には、これまでとは異なる目的がある。インターネットやモバイルショッピングが普及する以前は、商品が置かれている場所は店舗であり、何かを買いたいときには店に行くものだった。だが、消費者は今、ほぼ全てのものをいつでもどこでも買うことができる。

店舗数の増加は古い指標となり、重要性を失っている。店舗の未来は、それをどう使うかにかかっているのだ。

「店舗」の未来

店舗はこれまで自らが存在してきた環境の外に出ていかなければならない。そして、消費者がいる場所に行き、そこで彼らを魅了しなくてはならない。常に消費者が足を運んでくれることを要求するわけにはいかない。

小売業はいまや、より複雑でリスクを伴うものに変化している。成功するためには人材と財務の両面で、より多くのスキルと資本が必要になる。

小売業者に今求められるもの

店舗の閉鎖によって多大な影響を受ける人たちには、当然ながら家主たちがいる。米国内ではほぼ全ての地域で、面積当たりの小売スペースの価値は3年前より下落している。

家主らがこの事実を受け入れるまでには、時間がかかった。彼らが賃料の値下げに踏み切れなかったことが、国内各地にいまだ多くの空き店舗がある理由だ。だが、一部の家主らがようやく値下げを受け入れ始めると、浮かび上がり始めたのは新たな疑問だ。

店舗には、販売以外にも果たせる役割があるのではないだろうか?

面積当たりの賃料が安くなったのであれば、店舗は講演やデモンストレーション、講習会など、その他のイベントのためにスペースを使用できるのではないだろうか。例えば取り扱う商品に関連のあるイベントを開催した場合などには、消費者が店舗に足を運び、そして商品を購入することにつながるのではないだろうか?

商品の販売にとどまらず、小売業者がよりクリエイティブになることができるなら、可能性は無限大だ。店内のイベントスペースが、新たな収益源を生み出す可能性さえある。

こうしたことに必要になるのは、小売業者にこれまで求められてきたものとは異なるスキルだ。過去およそ25年間、小売業者は在庫を減らし、面積当たりの売上高を伸ばし、より安全な商品を取り扱うことで事業上のリスクを低減させることに力を注いできた。

だが、小売業がいま彼らに求めるのは、考え方を変え、たとえ試みる全てのことが成功するわけではないと分かっていても、適切なソリューションを見つけるための実験に取り組むことだ。

こうした環境に店舗を適応させていかないブランドは今後、店舗の閉鎖に迫られるだけでなく、事業を縮小させていくことになるだろう。一方、現在の世界の動きに適応することができた店舗は消費者の心を捉え、より少ない店舗数でより多くの利益を上げることができると考えられる。

Richard Kestenbaum

最終更新:4/17(水) 14:30
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