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松尾スズキ個人プロデュース 二人芝居を新しい小空間で

4/17(水) 20:00配信

ウォーカープラス

個性的な役者を多数抱え、刺激的な話題作を生み出している「大人計画」。昨年、結成30周年を迎えたこの人気劇団を率いる作・演出の松尾スズキが、初の個人プロデュースとなる「東京成人演劇部」をスタートさせた。その第1弾が、達者な演技派・安藤玉恵との二人芝居「命、ギガ長(なが)ス」。50歳のアルコール依存症の息子と82歳の認知症の母、その生活をドキュメンタリーとして撮影し卒業制作にしようとしている女学生と映像学科のゼミの教授という登場人物を2人で演じ分ける予定だ。

【写真を見る】第1弾は演技派女優・安藤玉恵との二人芝居「命、ギガ長(なが)ス」

また、今回の上演会場は、9月にオープンする読売テレビの新社屋1階にできる10hall。

そのオープニングシリーズ公演でもある。キャパ200ぐらいのホールでの二人芝居。「世界は一人」大阪公演に来阪した松尾スズキが、合同会見と個別取材で語った「命、ギガ長(なが)ス」。作品への話は、彼の生き方や内なる思いまで見せてくれるものだった。

【今回の芝居への経緯】

大人計画を30年やってきて公演の規模も大きくなり、1万人、2万人のお客さんを相手にしていく中で、興業の責任を背負うプレッシャーがけっこうオリのように自分をむしばんでいるなという想いに囚われる時があるんですね。そこに疲れてきてる。自分は演劇を楽しむために始めたのに、どこか苦しみに変わってきたような、じくじたる思いがありまして。大規模な、商業的な演劇のプレッシャーから解放されたところで、一度、小さなお芝居を立ち上げて、大学の時に演劇研究会に入って初めてお芝居に触れた時のドキドキワクワクする感じ、すごく楽しかったシンプルな喜びをもう一回手に入れたいみたいな気持ちになったんですよね。原点回帰がしてみたかった。そのためには自分で興行の責任をしょった方がいい、できるだけリスクのない状態でやりたいというところから、一番シンプルな2人という単位でやるのがいいなと思いまして。それで演劇部的なものを通過している安藤玉恵さんに白羽の矢を立てて、2人で生活が破綻しない程度に楽しみたいなと。

【安藤さんの魅力】

 NHKの「あまちゃん」とか「植物男子ベランダー」で共演したり。なんとなく、いつの間にか知り合いになるっていうパターンでした。言葉でとらえがたい魅力というか。それこそ、僕のお母さんもできるし、僕の生徒役もできるような、若くも見えるし、年を取ってるようにも見えるし。不思議な魅力だなと思っていつも見てたんですけど。

達者ですしね。頼もしい相方になってくれるだろうっていう確信がどこかにあって。それは三浦大輔という、恐ろしい後輩に鍛えられてやって来た人なんで、根性はあるだろうと。

二人芝居は相手の技量がすごく必要なんで、そこはちょっと譲れないところだなと思っています。

【内容について】

安藤さんと二人芝居をやる時に、安藤さんが自分のお母さんだったらおもしろいなとかいうシンプルなこともあるんですけど。今、母親の介護に真正面から向き合ってる日々がけっこう長くて、今まで経験のない感情に囚われることがよくあるんですね。こちらがいくら想いを伝えようとしても、反応が返ってこない介護。闇に自分を放り込んでるような、もぐりこんでも足がつかないみたいな気持になる瞬間があるんですよ。その感情を作家として1度表現しておきたいなと。こんな時国はいったい何をしてくれるんだろうとか、自分の内的なものと社会的なものを両方から捉える芝居を作ってみたいと思ったんです。

社会的な目で見て、今の人間の命だけがいたずらに伸びていって、伸びていった命に対して社会が対価を払っているのかという矛盾のようなものが、僕はあるような気がするんですよね。その辺はちょっとドキュメンタリー作家という役柄を通して描いていければとは思ってるんですけど。そういう中でもヘンに文学的にならず、できるだけユーモアをまぶした作品にしたいなと思っています。

【笑いについて】

僕の作品の中でというよりは自分の生き様の中で…秩序だったり、親のしつけだったり、社会、学校のルールというものに、すごく過剰な圧迫感を感じて苦しんでいるような子供だったんですね。唯一、そこに風穴を開けるのが僕にとって笑いでした。笑ってる間だけは、その秩序から解き放たれてるような快楽があるという。だから当然自分も笑えるものが好きだし、ものを作るとしたら笑わせたいと自然な流れでそうなりましたね。

親や教師に叱られて生きてきたからこそ、笑いがほしい。不謹慎だったり不道徳的なことを、だからこそ笑いたいみたいな部分があります。笑っちゃいけないって言われることほど笑いたいというか。もちろん、人を傷つけるような笑いは全然やりたくはないですけど。

【小ホールでの公演】

最小限の表現が伝わってしまう距離感でやりたいなと思ってるんですよね。150人ぐらいの人数に伝わる小さな表現の力を忘れたくないと思って。マイクを使わなくても伝わらなきゃいけない演劇を。10hallは普通のテンションで、すべてのものが伝わる距離感だと思うので。僕はどこかがもろいんです、そのもろさを受け止めてくれるキャパの劇場で芝居をやりたいというのが本音の本音ですけどね。

【少人数の芝居について】

2012年に一人芝居「生きちゃってどうすんだ」をやった時、俳優として相手役が欲しいなって思って。相手がお客さんっていうのはキツイなぁと(笑)。もう一度チャンスがあればやってみたいと思うんですけど、あれは1時間50分もあって死ぬかと思いましたから(笑)。でも、一人芝居はキツイなと思えたという学びがあったんで。あれは究極に自分を追い込んだ形だったので、もう少し楽しめないとヤダっていう気持ちですね。

時を追うごとに、演出の仕事が楽しくなってきてるんです。逆に言うと俳優の仕事がしんどくなってきたっていうのもあるんですけど。今の体力だと2人ぐらいがちょうどいい。でも、二人芝居って結構大変だなと思います。限界かな。

【演劇の楽しみとは】

今、楽しめないことは…大人数の中で演技をしたり、大人数のお客さんを相手に演技をしたりすることばかりで、それが苦痛になってきてて。みんなの生活が頭に浮かんだり、今回はこの人にいいセリフがあまり書けなかった悔いとか。そういうものを取っ払ったところに二人芝居があるのかなと。あと、具体的な美術や衣装であるほど予算も膨れ上がるから、そういうもの一切取っ払って、全部パントマイムでやろうと思ったり(笑)。

楽しいっていうのは、自由度が高いってことですかね。「いだてん」で落語家の役をや

って、落語ってやっぱり究極の舞台表現なんだなと思いました。ひとつの扇子と一つの手ぬぐいですべてを表現するって、なんかカッコイイなって。ほんっとに自由ですからね。

【今後】

安藤さんと2人で続けていくこともあるでしょうし、安藤さんと僕の代わりの誰かで、もう一度同じものっていうのもあり得るだろうし。ま、「大人計画」も30年やって来たんだから、そろそろ好き勝手やってもいいんじゃないかっていう思いはありますよね。逆に座長が好き勝手やってるんだから、自分たちも好き勝手やっていいんだっていうふうに、みんなが思えばいいと思います。

【関西に来た時、必ずすること】

うどんが好きなんで、どこかでうどんを食べてますね。前はニューオータニに泊まることが多かったんで“今井”でしたけど、今回はビジネスホテルですし(笑)。前は“川福”にも行ってました。僕はラーメン、うどん。麺派ですね。東京より関西以西の味が好きです。人とはあまり行かないです。店も特に決めてないですね。僕、方向オンチなんで、教えてもらっても覚えられない(笑)。それに余裕がないんです、地方で休演日ってあんまりないですし。もう、ヘトヘトなんですよね。大体、ヘトヘトなスケジュール組まれることが多くて(笑)。

【時間があったら関西で行きたいところ】

“太陽の塔”をもういっぺん見たいですね。昔「TAROの塔」というドラマをやらせてもらった時に行きました。中がリニュアルされてるっていうので、行ってみたいなとは思うんですけど、やっぱり公演中は体力を温存しときたいんでね。大阪に行った時、“太陽の塔”の写真撮ってくる人多いんですよ。やっぱ、すごいパワースポットだなみたいな感じで。でも、普段は仕事で来てるんでくたびれてるから、そんなにウロウロはしないです。

松尾スズキ●1962年12/15、福岡県生まれ。88年より「大人計画」を主宰し、作家・演出家・俳優・映画監督など多彩に活躍。現在、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(NHK)に出演中。今秋、監督・脚本・主演の映画「108~海馬五郎の復讐と冒険~」が公開予定。同名小説「108」(講談社刊)発売中。

STAGE 松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部Vol.1「命、ギガ長ス」

チケット4/20(土)発売 公演期間:7/27(土)~29(月) 会場:読売テレビ 新社屋 10hall 作・演出:松尾スズキ 出演:安藤玉恵、松尾スズキ 価格:一般5,800円/当日6,000円(ミニトーク付き)※日付指定・整理番号付き自由席 お問い合わせ:読売テレビ事業局(06-6947-2098) HP:http://matsuo-suzuki.com/(関西ウォーカー・高橋晴代)

最終更新:4/17(水) 20:00
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