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年金のプロたちが繰り上げ受給を選ぶ理由「死んだらおしまい」

4/18(木) 16:00配信

マネーポストWEB

 年金は「繰り上げ受給は損する」との思い込みを持っている人は多い。というのも、「70歳まで我慢すれば受給額が1.4倍になりますよ!」などと、実際に年金事務所の相談窓口で繰り下げ受給をしきりに勧められるように、政府を中心に「繰り下げが絶対に得」というキャンペーンが張られているからだ。

 だが、「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏は「キャンペーンに踊らされてはいけません」と警告する。

「近年は、『繰り下げが得』という話ばかり強調されますが、歳をとって体の自由が利かなくなってから多くの年金を受け取っても、使い道がないケースは少なくありません。元気なうちに繰り上げ受給し、人生を豊かにするために使うことはひとつの卓見です」

 年金のプロたちも、“元気なうちにたくさんもらう”という観点を重視して、繰り上げ受給を選んでいる。社会保険労務士の資格を持つ年金評論家の田中章二氏(70)は、その一人だ。

「私の世代は、報酬比例部分は60歳から、定額部分は64歳からの受給になっていましたが、定額部分を前倒しで63歳から受給しました。

 あと1年待てば満額もらえる状況だったものの、ちょうどそのタイミングで病気を患ったこともあり、“死んでしまったらおしまいだ”と割り切って繰り上げ受給を決めた。寝たきりになったりすれば自由に旅行に行くことも難しくなるので、元気なうちに人生を楽しむために年金を使おうと考えたんです」

 年金のプロがこうした判断をするのは、素晴らしいと喧伝される繰り下げ受給に“落とし穴”があることを知っているからという側面もあるだろう。

「たしかに70歳まで繰り下げると年金の額面は42%増えますが、同時に税や社会保険料も大幅にアップして手取りは30数%しか増えないでしょう。

 他にも、年下の専業主婦の妻がいる人は、妻が65歳になるまでの期間に受け取れる『加給年金』を、繰り下げで受給を先延ばしにしていると受け取れなくなる。デメリットも知った上で、もらい方を決めないといけません」(北村氏)

「自分にとって得な受け取り方」はどの方法か──“後でたくさんもらいましょう”キャンペーンに惑わされずに、慎重に検討したい。

※週刊ポスト2019年4月19日号

最終更新:4/22(月) 6:01
マネーポストWEB

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