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過熱が懸念される不動産関連融資

4/18(木) 11:41配信

NRI研究員の時事解説

収益性の中長期的評価

今回のレポートの中で、日本銀行が焦点を当てたもう一つの点が、中長期の観点から、金融機関の収益性を改めて評価したことだ。従来では、現時点の自己資本比率が規制の基準を超えていることを、金融システムが安定していることの根拠とするような論調が目立っていたように思う。しかし、現時点の自己資本比率に偏って、金融システムの安定性を評価することにはリスクがある。

今回のレポートでは、金融機関の収益力に関する株式市場の評価を取り上げている。例えば、地域銀行の株主資本利益率(ROE)が高水準を維持するなかで、株価純資産倍率(PBR)が低下している背景として、資金利益の長期的な減少トレンドなどがあるとしている。また、株価情報を用いて金融機関の将来のストレス耐性を計測する指標(SPISK)を試算し、欧州の銀行と比較して、日本の地域銀行のストレス耐性が趨勢的に低下していることを明らかにするなど、非常に興味深い分析を提示している。

中長期の地域銀行の経営環境に警鐘

さらに注目されるのが、毎回実施しているマクロ・ストレステストで、今回は、シミュレーション期間を3年から10年へと延長し、5年後時点のストレス発生を想定したストレステストを新たに実施したことだ。

ただしその狙いは、金融システムの安定性をより長期の視点から点検することだけにとどまらず、中長期のベースライン・シナリオを計算し、公表することで、地域銀行の経営環境の厳しさを明らかにし、対応を促すことにあったのではないか。実際、4月18日付の日本経済新聞は、「約6割の地銀が10年後の2028年度に最終赤字になる」として、金融システムレポートの中で、この中長期のベースライン・シナリオの部分を大きく取り上げている。

ところで、金融庁が先般公表した、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の改正案は、金融機関の自己資本比率が所要水準を下回らなくても、収益性などに問題があれば、金融庁が早期の経営改善を促す、というものだ。足もとで自己資本比率が規制基準を超えていても、恒常的に収益が悪化すれば、将来の健全性に懸念が生じる、との考えである。

今回の日本銀行の金融システムレポートも、こうした金融庁の方針と平仄を合わせ、中長期的な金融機関の収益性により焦点を当て、また、現時点での自己資本比率だけでは捉えることができない金融機関経営の健全性、金融システムの安定性に強い警鐘を鳴らして、金融機関の前向きの取り組みを促す内容となったと評価できるのではないか。

木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト)
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この記事は、NRI金融ITソリューションサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/category/kiuchi.html)に掲載されたものです。

木内登英

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最終更新:4/19(金) 10:22
NRI研究員の時事解説

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