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NASAが「双子研究」の研究結果を初公開 ― 宇宙滞在は人間に大きな変化を与えない?

4/18(木) 21:13配信

エスクァイア

 宇宙での生活は、人に変化をもたらしすことでしょう。ですが、思っているほど大きな変化ではなさそうです…。

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 NASAが行う「双子研究」は、一卵性双生児であり宇宙飛行士であるスコット・ケリー氏とマーク・ケリー氏の兄弟を対象に、スコット氏だけが宇宙に1年間滞在して兄弟を比較することで、宇宙が人体に与える影響を観察するというものになります。

 科学者たちは「引き続き調査が必要だ」としたうえで、「双子研究」の結果は人類の長期宇宙滞在のための希望の光をもたらすことになりそうです。

宇宙と地球に別れた兄弟

 一卵性双生児を研究対象とすることは、研究者たちにとって大きな意味を持ちます。同じ遺伝子を持つ2人を比較することで、周囲の環境が与える影響をより正確に判断することができるからです。

 スコット氏は2015年からNASAのミッションに参加し、ロシアの宇宙飛行士ミハイル・コルニエンコ氏とともに国際宇宙ステーション(ISS)に340日間滞在しました。一方、マーク氏は地球に留まり、マーク氏の数値と比較することで、長期滞在がスコット氏の体にどのような変化を与えたかを調べたわけです。

 調査は大規模なもので、10もの研究チームがケリー兄弟の微細な生理的変化にまで注目し、エピジェネティクス(DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステム)から遺伝子発現まで、ありとあらゆる項目を検査しました。

 スコット氏は、2016年に地球に帰還していました。ですが、その分析に時間がかかったようで、NASAはこのたび、ようやく『サイエンス』誌に調査結果のデータを発表する運びとなったわけです…。

 もちろん、結果を判断するうえで気をつけなければいけないのは、今回比較したのはたった2人であって、大きなサンプルサイズではないという点です。また調査範囲も、限られていました。スコット氏が滞在したのは、地球の軌道にあるISSですので…。

 ISSは、地表から約330~435キロメートルの位置で軌道を回っています。これは危険なヴァン・アレン帯よりもずっと地球に近く、地球から遠く離れると避けることのできない放射線の影響も受けることのない空間でのことです。もし火星に行くとしたら、ISSにいたケリー氏が浴びた放射線の8倍もの量を被ばくすることになるわけですので…。

 それでも、この調査は大きな一歩と言えるのです。

 「研究者として、この調査は素晴らしい道のりでした」と、エピゲノミクス研究チームの主任研究員であり、メリーランド州バルチモアにあるジョンズ・ホプキンス医学校の特別教授アンディ・フェインベルク博士は記者に対しての電話会議でコメントしています。

 そして、ボストーク1号がユーリ・ガガーリンを乗せて大気圏外に到達してからもうすぐ58年になることに触れ、この研究を「宇宙における、人類におけるゲノミクスの夜明け」だと表現しました。

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最終更新:4/18(木) 21:13
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