ここから本文です

NASAが「双子研究」の研究結果を初公開 ― 宇宙滞在は人間に大きな変化を与えない?

4/18(木) 21:13配信

エスクァイア

宇宙が人体に与える影響

 スコット氏の体には宇宙での滞在によって、目に見えて変わったことはありませんでした。老化速度に変化はありませんでしたし、生物学的には地球に帰還してすぐに元の状態に戻りました。

 これは「宇宙に行けば、老化が遅くなる」と考えている人たちには、「がっかりする結果だったでしょう」と言ったのは、コロラド州から参加したスーザン・ベイリーさんです。

 ベイリーさんが主任研究員を務めたチームは、「テロメア」と呼ばれる染色体を保護する役割を担う細胞部を調査していました。スコットさんの免疫システムは正常に機能していたため、「ワクチンは地球上にいるときと同じように宇宙でも有効だ」という可能性を高めたことになります。

 ベイリーさんがワイル・ラボから参加したケリー・ジョージ氏と行った調査では、NASAにとっても驚くべき発見もありました。

 「テロメア」は年を取るとともに短くなる傾向にあるのですが、スコット氏のテロメアは宇宙にいる間、「著しく伸びていた」というのです。しかしながら地球に帰還して2日で、元の長さに戻ってしまいました。

 染色体の先端についている「テロメア」は、科学が未だ解明しきれていない癌と複雑な関係を示しているのです。極度に短い、もしくは長い「テロメア」を持っていると、癌のリスクが高いという研究結果も出ているのです。

 スコット氏の伸びた「テロメア」が何を意味するのか?…それを結論づけるには時期尚早です。が、この「テロメア」の存在は非常に興味深いものと言えるでしょう。

 また、スコット氏の遺伝子発現(いでんしはつげん)にも変化が見られました。遺伝子発現とは、DNAにコードされた情報がタンパク質のような機能的産物に変換されるプロセスのことを言います。NASAによるとスコット氏の体は、スキューバダイビングのような、強いストレスを感じる状況に対するものと似た反応を見せたそうです。

 しかしながら、遺伝子発現の変化の7%は、地球に戻ってからも通常状態へと戻ることはなかったのです。これらの変化は、“非常に小さい”ものだとしながらも、「スコット氏の免疫システム、DNA修復、骨形成ネットワーク、低酸素症や高酸素ガス血症に関連する遺伝子の長期的な変化が起きた可能性がある」と、NASAのプレスリリース内につづっています。

2/3ページ

最終更新:4/18(木) 21:13
エスクァイア

記事提供社からのご案内(外部サイト)

エスクァイア

ハースト婦人画報社

1933年にアメリカで誕生した
ハイエンド・ファッション雑誌です
ファッションやライフスタイルにとどまらず
アート、カルチャー情報などを届けます

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事