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【パックン風刺画コラム】「スペシャル」な米教育長官の非情すぎる予算カット

4/18(木) 17:56配信

ニューズウィーク日本版

<トランプが選任したデボス教育長官は教育専門家でもなければ、教員の経験もない>

アメリカは100年以上前から弱者に優しい国を目指している。徐々に女性や少数派人種、LGBT(性的少数者)などを守る制度や法律ができ、差別概念を是正するように言葉遣いも変わってきている。身体障害、知的障害のある人に対してもそう。バリアフリーを義務化する法律も、職場や教育現場で彼らの権利を守る制度も広まった。そして handicapped や disabled より people with special needs(特別な配慮が必要な)という表現が主流となってきている。

その中で、知的障害のある人々の健康と幸福を応援する Special Olympics(スペシャルオリンピック)が51年前にできた。30種目以上あるスポーツ大会だが、第1回のイリノイ州から全米へ、アメリカから世界へと広がり、今や世界各地で毎年10万ものイベントが開催されているという。優しい国を心がけるアメリカ国民の間ではスペシャルオリンピックは大人気で、教育省がみんなの税金で支援している。

そんな教育省に2年前、ドナルド・トランプ大統領の抜擢でとても「スペシャルな」長官が選ばれた。

ベッツィー・デボス教育長官はそもそも教育の専門家ではない。教員免許もなければ先生の経験もない。生徒として公立学校に通ったこともなければ、自分の子供を公立学校に通わせたこともない。むしろ、資産家であるデボスは営利目的の教育関連企業に投資しながら、チャータースクール(公設民営校)を推進し、伝統的な公立学校をなくす運動をしてきた人なのだ。そんな人を教育長官にするのは、エネルギー省の廃止を公約した政治家をエネルギー長官にするような、非常識過ぎる愚行だ。ちょっと待って......そっか! それもトランプがやったことだ!

そんなデボスの下、教育省はスペシャルオリンピックの補助金を全額カットした来年の予算案を発表。国民の反発を受け、3月末にトランプが撤回したが、「優しい国」から遠ざかる、歴史の逆行を象徴する瞬間だった。障害者を支援しないなんて、人種間の教育格差の是正措置「アファーマティブ・アクション」をなくしたり、LGBTの学生への人権侵害を許容したりするような、非常識過ぎる愚行だ。ちょっと待って......そっか! それらもデボス指揮下の教育省がやっていることだ!

弱者を保護しない現政権だから、スペシャルオリンピックも not so special(特別ではない)というだけのことだが、なぜか今回のことは僕には特別に残酷に感じられるのだ。

【ポイント】
STUDENT CIVIL RIGHTS
学生の公民権

PUBLIC EDUCATION
公教育

<本誌2019年04月23日号掲載>

ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

最終更新:4/18(木) 17:56
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