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父に胃ろうを造るべきか。胸がキリキリ傷んだ、たったひとりの決断。

4/18(木) 17:30配信

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■延命治療をすべきか、どうか。

〈連載「母への詫び状」第四十回〉

  父が脳出血によって意識のない状態になり、家族として延命治療の選択に直面した。

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 延命治療にも様々あるだろうが、まず医師に質問されたのは「もし心肺が停止したら、蘇生措置を行うかどうか」だった。

 ぼくひとりで決めていい事柄ではないと自覚しつつ、さすがにこの蘇生措置は不要だと思った。たとえ父が今、死んだら、入院中の母が葬式に参列できないという不都合があるとはいえ、それを理由に意識のない父の蘇生をお願いしたいとは思わない。

 そもそも父がベッドの上で人工呼吸器をつけられ、生かしてもらえている状態がすでに延命治療だろう。この現状を積極的に止めて欲しいという気持ちはないが、今後の心肺停止に抗うつもりはない。

 家族の意見をまとめておいて欲しいと言われたので、母や兄弟にも相談した。

■一番大事な人の意見は…

 ステージ末期の進行がんである母に、父の死やら延命治療やらの相談を持ち出すのは気が重かったが、一番大事な人の意見を聞かないわけにはいかない。

「うーん……。私にはわからない。二郎が決めて」

 それが母の答えだった。

 兄や弟とも、蘇生措置を行わないという点では一致したが、兄がこんなことを言い出した。

「胃ろうもやめようよ。あれは良くない。胃ろうはダメだ」

 胃ろうというのは、胃にチューブを通して直接、食物や水分などの栄養を投与する医療措置のこと。口から食べ物を摂取できなくなった人に施され、胃ろうを造る手術はPEGと呼ばれる。

 2010年頃だっただろうか、胃ろうの是非がマスコミでもよく取り上げられた時期があった。

「人間は口から物を食べられなくなったら、それが寿命。胃ろうを造ってまで延命させるべきではない」

「これは人間の尊厳の問題。胃にチューブをつながれてまで生きていたいのか!」

「日本は胃ろう大国。お手軽に造りすぎて、医療財政を圧迫している」

 そんな批判が多く、2014年には胃ろうに関する保険制度が改定されている。医師の診療報酬が大幅に下げられ、乱造に歯止めがかけられた。ぼくもぼんやりと「胃ろうは望ましくない、減らすべき延命治療の代表」のような印象を持っていた。

 父が救急搬送されて数週間後、病院から胃ろうを造るかどうかの打診と説明があった。

 父のような症状の場合、最初は「点滴」→鼻からチューブを入れて栄養を送り込む「経鼻胃管」→「胃ろう」という順番をたどることが多いらしい。だから、わかりやすく言うならば、鼻チューブから胃チューブに変えますか、という選択になる。

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最終更新:4/18(木) 17:30
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