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なぜ湘南から次々に若手が台頭するのか?曺監督の思考が見えた現役ドイツ代表のエピソード

4/18(木) 16:58配信

SOCCER DIGEST Web

湘南のレギュラー争いに若さゆえの優遇はない

 例年にも増してチーム内の競争が活発だ。なかでも若手の躍動が目を引く。高卒ルーキーのMF鈴木冬一は前節の松本戦を含めてリーグ戦4試合連続でスタメンを張り、今治から加入のDF小野田将人は4節・仙台戦でJ1デビューを果たすとともにJ1初ゴールをマークした。U-22日本代表の杉岡大暉や齊藤未月も開幕から継続的に先発し、大卒ルーキーのFW大橋祐紀はここまでルヴァンカップでフル出場、リーグ戦では4試合に途中出場している。仲間の負傷離脱もあったなかで、準備を弛まず、個性をそれぞれピッチに傾けている。
 
 曺貴裁監督があるとき語ったティロ・ケーラーの話を思う。シャルケでプロとなり、現在はパリ・サンジェルマンでプレーする若きドイツ代表の歩みを引用しつつ、指揮官は足もとに目を向ける。
 
「以前チャンピオンズ・リーグを観に行ったとき、当時18歳のケーラーを見て、こんな選手がリザーブにいるのは恐ろしいなと思っていたら、彼はその後パリ・サンジェルマンに移籍した。つまりベンチだからといってよくないわけではない。いま試合に出ている選手より伸びる可能性があり、そしてまた、いま出ている選手がさらに追い越そうとする。チーム内での純粋な競争を考えた時に、ケーラーのようにきっかけを掴めば上に行ける選手を抱えていることは、どのクラブにおいてもすごく大事だと思う」

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 現日本代表の遠藤航然り、湘南ではこれまでも多くの選手が若い頃から台頭してきた。だが、「若いだけで使うことなんて絶対しない」と曺監督も釘を刺すように、若さゆえの優遇はもちろんない。若手も経験豊富なメンバーも、年齢や経験によらず皆で日々切磋琢磨し、ピッチに立つ責任感を育んでいる。結果として出場試合数に個人差が表れることはあっても、レギュラーという名の指定席はなく、個々のコンディションや相手を踏まえたゲーム戦術などによってメンバーは柔軟に入れ替わる。だからこそチームで結果を掴む手触りはひとしおだ。昨季のルヴァンカップ初制覇はまさしくその結晶である。

 松本をホームに迎えた前節は1-1で決着し、湘南は今季初の引き分けを記した。先制しながら終盤に追いつかれた展開には見直すべき点があろう。ただ、6節・磐田戦、また水曜に開催されたルヴァンカップ札幌戦と公式戦2連敗を喫していたチームにとって、連敗を止めた勝点1の意味は小さくない。出力に欠けていた連敗の反省を踏まえ、コンパクトフィールドを保ち、攻守に先手を奪う自分たちらしい戦いも取り戻している。

 松本戦のドローをもって、勝点は10ポイントに到達した。湘南に改称した2000年以降、J1を舞台に開幕7試合で勝点をふた桁に乗せたシーズンはない。初めて刻む足跡に、彼らの日々の切磋琢磨とチームとしての上積みが映える。
 
取材・文●隈元大吾(フリーライター)

最終更新:4/18(木) 16:58
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