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大手のプライドを捨てられない46歳男性の苦悩

4/18(木) 5:20配信

東洋経済オンライン

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「マンション管理会社の大手で9年と7年勤めて、39歳でいわゆる追い出し部屋に異動。40歳で自己都合退職に追い込まれました。その後、7社転々として現在アルバイトです」と編集部にメールをくれた、46歳の独身男性だ。

 「頂戴いたします」

 そう言って、スマートフォンを両手で掲げ持つ。それをお盆代わりに、渡された名刺を載せ、深々とお辞儀をする。過剰にも見えるマナーを見せるヨシユキさん(46歳、仮名)は、以前、ふたつの大手不動産会社に、それぞれ9年と7年、勤務していた経験があるという。

 ひとつは、マンションの供給戸数全国トップクラス、ひとつは、財閥系の有名企業。ヨシユキさんは具体的な会社名を挙げながら「合計16年間、営業マンとしてやってきました。名刺交換は基本中の基本ですから」と、胸を張った。

■1社目でメンタル不調に陥り…

 ただ、このうちの9年で退社することになった1社目は、毎月80~100時間の残業が当たり前という長時間労働が常態化した職場だった。そのせいでメンタルに不調をきたし、1年半の休職のすえに退職。

 いったんは復職し、定時退社で“慣らし運転”をするまでに回復したという。ところが、昼休み中の電話番を任されていたとき、たばこを吸いに席を外したタイミングで、運悪くクレーム電話がかかってきてしまった。代わりに対応した後輩社員から、頭ごなしになじられたことで、再び休職。そのまま退職を余儀なくされた。

 また、2社目は、「些細なミス」が原因で、いわゆる“追い出し部屋”へと異動。些細なミスとは、マンションオーナーと周辺の戸建て住民との間のトラブルを、うまく収めることができず、顧客でもあったオーナーとの契約を切られてしまったことだという。異動から数カ月後、今度は畑違いの専門部署への異動を打診され、退職を選んだ。

 大学を卒業したときは、就職氷河期だった。“買い手市場“の中、なんとか就職した大手企業で、立て続けに退職に追い込まれたことを、ヨシユキさんはこう振り返る。

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最終更新:5/10(金) 17:22
東洋経済オンライン

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