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涙なしには観られない『なつぞら』 序盤で描かれたシビアな現実と交錯する「事情」

4/19(金) 8:40配信

コンフィデンス

 4月1日にスタートした、広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説第100作目『なつぞら』。ヒロイン・なつ(粟野咲莉)は、父親が戦死し、母親が空襲で亡くなった後、兄と妹と別れ、父親の戦友・柴田剛男(藤木直人)に引き取られて、北海道にやってくる。子役時代の2週間は、ネット上で「おんじ」と呼ばれる、草刈正雄演じる柴田家の厳しくもあたたかい祖父・泰樹に泣かされる展開が続いた。視聴率も評判も上々で、もっと長く観ていたいほどのクオリティだった。

【写真一覧】ヒロイン兄役の岡田将生、祖父役の草刈正雄など「なつぞら」主要キャスト

■「子どもらしくない」なつの人物像と、注がれる目線のリアリティ

 話題が泰樹に集中しているため、ここではなつと、なつを引き取ってくれた柴田家の人々の繊細な心理描写に注目したいと思う。

 本作の特筆すべき点は、西洋の名作児童文学を思わせるような美しさのなかに、綺麗ごとや建前ではなく、シビアな現実がしっかりと描かれていること。そして、登場人物一人ひとりが「良い人・悪い人」「優しい人・意地悪な人」「あたたかい人・冷たい人」「元気な人・おとなしい人」などの二元論的にわかりやすく描かれていないところだ。

 例えば、ヒロインは最初「明るく元気で礼儀正しく、ハキハキと挨拶する子」の印象がある。しかし、これに対して「あざとい」「わざとらしい」「良い子すぎ」という違和感を抱いた視聴者も少なからずいた。実はこの反応はごく自然なことだろう。剛男がシンプルな優しさで、なつを真っすぐ受け入れようとするのに対し、妻・富士子(松嶋菜々子)はなつのことを「子どもらしくない」という。確かに、いつでも笑顔で、周りの顔色を見て遠慮したり、すぐ謝ったりするなつは、「子どもらしくない」。

 なつは、朝ドラヒロインにありがちな「明るく健気な子」じゃない。遠慮がちのようで、食べ物を与えられると躊躇なくガツガツ食べる。また、戦災孤児として物乞いしていたときには、他人から恵んでもらったものをふんだくるように受け取るシーンもあった。これは、物質的にも精神的にも豊かに育った子がしない仕草だ。また、ウソをついて警察の保護下から逃げ出したり、お礼も言わずに柴田家から去っていったりもした。いずれも、生きるため、自分の居場所を得るために必死だったからだ。

 なつを「子どもらしくない」という富士子も、冷たい人というわけでもない。なつのことを「可哀相」と同情し、心配しながら、その一方で「あの子の親になる自信がない」と漏らす。これもごく自然な反応だろう。

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最終更新:4/19(金) 8:40
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