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導入からまだ10年。リスクの早期発見・対応に有用な「内部通報制度」とは

4/19(金) 7:31配信

日本の人事部

「内部通報制度」とは、ある組織内で法令違反や不正行為といったコンプライアンス違反が発生したとき、またはその可能性があることを知ったときに、従業員が直接通報できる窓口を設けている制度のこと。組織によってその名称はさまざまで、「ホットライン」「ヘルプライン」「コンプライアンス相談室」などと呼ばれることもあります。しばしば「内部告発」と混同されますが、内部告発は不正行為を行政・司法機関、消費者団体、マスコミなどの外部に情報を提供することであり、内部通報とは大きく異なります。内部通報には組織として改善できる余地が残っているため、自浄作用を促す機能の一つといえます。

コンプライアンスの歴史は意外と短い  日本で内部通報制度が浸透するまで

現在は、法律や社会的通念を守る「コンプライアンス」の考え方が、広く浸透しています。コンプライアンスが重視されるようになったのは、2000年代以降。日本におけるコンプライアンスの歴史は、意外に浅いのです。当時の日本では、「規制緩和による経済活性化」が大きなテーマとして掲げられていました。経済の発展を促すために、企業の自由な活動を認める動きが進んでいたのです。しかし、企業が「自由」をはき違えると、国民の生活や社会の安全公正が保てなくなります。そのため、企業の動きを監視する機能や情報公開を求める声が強まっていきました。

2000年当時、内部告発に端を発した不祥事が続発したことを背景に、2002年に日本経済団体連合会が「企業行動憲章」を改訂し、内部通報制度の導入を奨励しました。導入する動きは徐々に広がっていきましたが、当時はまだコンプライアンスという言葉が一般的ではなかったため、内部通報には密告者のイメージがつきまとっていたのが実状でした。そこで2004年に「公益通報者保護法」が制定され、2006年4月に施行。通報者が解雇などの不利益を被らないよう保護する義務を企業に課したことで、内部通行制度が急速に活発化していきました。

内部通報制度が導入されて10年あまり。導入当初は、「通報がまったくない状態が理想的」と考えられていましたが、現在では「一定数の通報が寄せられる方が健全だ」という考え方が主流になっています。株式会社エス・ピー・ネットワークが運営する「リスクホットライン」によると、1社内で100人あたり年間0.5~0.8件程度の通報件数が「一定数」の平均と考えられており、この数値より高い場合は、きめ細やかな周知が行われているといえます。ただし、あまりにも数値が高い場合には、「なんでも通報してしまえ」と過度に利用されている可能性もあります。反対に平均より少ない場合には、内部通報制度の周知が行われていない、あるいは不十分であると考えられます。

内部通報制度の意義は「リスクの早期発見・早期対応」です。内部告発によって企業のブランド価値を下げることなく調査・是正措置を行うことで、健全な経営、健全な人間関係、健全なビジネスを保てるのが内部通報制度のメリット。ベンチャー企業でも、ある程度まで従業員数が増えたら、導入を検討した方がよい制度の一つでしょう。

最終更新:4/19(金) 7:31
日本の人事部

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