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大学サッカーという選択――Jクラブとの比較から考える育成論

4/19(金) 19:55配信

footballista

大卒選手の活躍に比例する形で育成における大学サッカーの存在感が増している。基本的には高卒でプロになれなかった選手達の受け皿として補完的な役割を果たしてきたが、昨今は高卒でJリーグクラブからのオファーがあるにもかかわらず進学の道を選ぶ選手も存在する。「人間的成長」「試合経験の担保」など、大学でサッカーをするメリットは理解できる。ただ、それらは本当にJリーグで提供する環境以上のものなのだろうか。この疑問をぶつける適任者に会うため茨城県つくば市に向かった。

小井土正亮。三笘薫選手(→川崎フロンターレ)や高嶺朋樹選手(→コンサドーレ札幌)など、2020年シーズンよりJリーグクラブ入団が内定している選手も所属する筑波大学蹴球部の監督だ。大学サッカー界の名門を率いる小井土氏は、柏レイソル、清水エスパルス、ガンバ大阪でのコーチ経験も持つ。“両方を知る”指導者が語る、大学サッカーとJリーグの育成環境の違いとは。

インタビュー・文 玉利剛一(footballista編集部)


――今回のテーマは「大学サッカー育成論」です。このテーマを考えるきっかけとなったのが、プロからのオファーがあるにもかかわらず大学に進学する選手がいるという事実です。小井土監督も2014年にコーチを務めていたガンバ大阪を離れて筑波大学の職員および筑波大学蹴球部の指導者というキャリアの選択をされていますが、まずはその経緯を教えてもらえますか?

 「私の場合はサッカーの指導者であるとともに、半分は”教育者”であるという自覚がありました。ですから、選手たちの人間的な成長の手助けもしたいんです。けれど、結果が最優先されるのがプロの世界。選手も私もいつクビになってもおかしくない。ゆえに、5年後、10年後を見据えての指導はなかなか難しい。そうした環境下ではどうしても人を育てるということに重きを置きにくい。プロはサッカーだけで繋がっている側面があるけれど、もっと人と向きあって仕事がしたかった。そうした葛藤がある中で、当時出ていた筑波大学の教員公募に応募し、運良く採用が決まったんです。大学は人を育てる場所で、結果に一喜一憂し過ぎずに選手の成長に向き合えることは魅力でした。だから、(長谷川)健太さんに相談してガンバを離れるという決断をさせてもらいました」


――「人間的成長」という言葉は大学サッカーを語る上でキーワードです。大学でプレーするメリットとしてよく語られますが、抽象的なので当事者以外はイメージしにくいです。「人間的成長」を具体的に説明するとどういうことになりますか?

 「プロの世界で指導していた時のことを思い出すと、やっぱり自分にベクトルを向けていない、向けられない選手は成功していなんですよ。つまり、『ここ(現所属チーム)で評価されないなら(他チームへ)移籍すればいいや』って。だけど、大学は4年間拘束されるので逃げ場がない。この与えられた環境で自分と向き合って成長せざるを得ない。そこがJリーグとの違いかなとは思います」


――タラレバの話なので回答するのは難しいとは思うのですが、例えば2020年のコンサドーレ札幌加入が内定している高嶺朋樹選手。仮に彼が高卒でプロに行っていた場合、筑波大学で成し遂げたような成長はなかったと思いますか?

 「……(少し考えて)はい。入学時に同じタイミングでプロになった選手とは『4年後にどうなっているかが勝負だよ』と話して、そこから彼は覚悟を決めて地道に努力してきた。僕から積極的に働きかけた訳ではなく、筑波大学蹴球部という環境が彼をそうさせた。高嶺の2つ上の先輩に一般入試で入ってきて、アルビレックス新潟に入団した戸嶋(祥郎)って選手がいるんです。彼は4年間本当にコツコツと地道な努力を続けてプロ選手としての契約を勝ち取った。そういった姿を多くの後輩は見てきているわけです。『戸嶋と比較してお前はどうなの?』と、問いかけるだけで選手は気づかされますよね。理想とするモデルが身近にいること。そういう積み重ねが伝統なんだと思います」


――同じく2020年から川崎フロンターレ加入が内定している三笘薫選手はどうですか?彼は高卒時にフロンターレでトップ昇格できるにもかかわらず筑波大学進学を選んでいます。

 「彼ほどの選手になるとモデルとなる選手は筑波にはいないですね。少なくとも当時の筑波にはいなかった。ただ、彼の場合は筑波で試合経験を求めて入学してきて、1年目から試合に出れると思っていたのに使われなかった。ただ、なぜ自分が使われないのか考えることができた。当初はチームが求める守備ができなかったんですけど、逃げ出さないで『小井土を見返してやろう』と努力した。フィジカルも当時から体重をkgくらい増やしたのかな。当たり負けをしない体も意識的に作ってきましたからね」

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最終更新:4/23(火) 11:18
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