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今日も長谷部誠がいた。「パーフェクト」な勝利、“ドイツ代表”のプライドと深める自信

4/19(金) 12:13配信

フットボールチャンネル

ヨーロッパリーグ準々決勝2ndレグ、ホームでベンフィカと対戦したアイントラハト・フランクフルトは2‐0で勝利。2戦合計のスコアを4‐4とし、アウェイゴールの差で準決勝進出を決めた。試合後に「パーフェクトな試合運びだった」と語った長谷部誠の言葉からは、“ドイツ代表”としてのプライドと、チームの戦いへの手応えが垣間見えた。(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

●ベンフィカの「雰囲気」に助けられた

 ジョアン・フェリックスは何処にいたのだろうか。

 4月11日に行われたヨーロッパリーグ(EL)準々決勝1stレグで、史上最年少でハットトリックを達成した新星。だが、翻って18日にアイントラハト・フランクフルトのホームに舞台を移した2ndレグでは消えていた。その才能の片鱗すら見えなかった。

 そしてフェリックスだけではない。ベンフィカというチーム自体が、1stレグで躍動した姿とは裏腹に、まるで借りてきた猫のようにおとなしかった。

 そんなベンフィカについて、試合後、長谷部誠は「ホームとアウェイで全然違う顔を持ったチームになっていました」と語った。

「もちろん良い選手がいるな、というのは感じるんですけど、まあ、これくらいのレベルだったらブンデスリーガでも十分、対戦相手にいますし。うーん…。ベンフィカはどちらかというと、もうとにかくリーグ戦に集中したいというか、そういう感じはあったので、そういう相手の雰囲気も自分たちの助けにはなったかなって思います」

 ELの準決勝進出を懸けた大一番。だが、両チームがそもそも抱いていた“野心”に差があったようだ。長谷部が「本当にアイントラハトの力が集結した気がする」と話したように、スタジアムに詰め掛けたフランクフルトのファンたちは、最高の雰囲気を作り上げた。


●「ドイツを代表して戦っている」

 ゴール裏に現れた巨大なコレオ。無数の揺れる旗。誰もがいつもより高い声を振り絞った。そして長谷部によれば、背中を押してくれるのは、アイントラハトを愛するファンだけではないのだという。

「素晴らしいホームのサポーターが後押しをしてくれる。それだけではなくて、ドイツ中が自分たちに期待してくれているというのを、すごく感じます。それは、ブンデスリーガの試合が終わった後に、相手の選手みんなに『ヨーロッパリーグ頑張れ』って言われるし、そういうドイツの国を代表して今、自分たちは戦っているという感覚もある。それは自分が日本代表でプレーするのとは違う感覚ではあるんですけど、それくらいの、国を背負っているっていう感覚もあります。個人的にはドイツという国に、本当に恩があるので、こういうところでしっかりと返していきたいな、という思いがあります」

 チャンピオンズリーグも含め、ヨーロッパの舞台で勝ち残っているのは、今ではフランクフルトだけとなった。ドイツサッカーのプライドを、面目を保つため、「ドイツの国を代表して今、自分たちは戦っている」。背負っているものがベンフィカとは違った。

 フランクフルトの選手たちは、落ち着いた様子で試合に入った。このラウンドを突破するには少なくとも2点が必要だったが、試合が始まるや否やガムシャラに攻めることはなく、冷静にゲームを進めていった。長谷部は「ゲームプラン」について、次のように語る。

「もちろん2-0でも3-1でも勝ち抜けるっていうことだったので、とにかく点を取ることはすごく大事だなと思っていたんですけど、ただ、ゲームプランとしてはそこまでリスクを背負ってやるっていう形ではなくて。しっかり規律、戦術を保ってやれば、しっかり2点は取れるという感覚がやっぱりありましたし、それはミーティングでも話していました。アウェイの試合でも、11対11で戦っている間は全く問題なかった。自分たちの方が良い手応えを感じていました」

●「パーフェクトな試合運びだった」

 リベロのポジションで先発した長谷部も、終始落ち着いて手堅くプレーした。マイボール時には、味方の避難先となりながら、冷静かつ丁寧にゲームを組み立てる。守備でも決して穴を開けず、1対1の局面ではアグレッシブに勝ち切る。ベンフィカ戦でも、頼れる日本人が最後尾にいた。

 37分にMFフィリップ・コスティッチ、67分にMFセバスチャン・ローデと、前後半それぞれ着実に点を重ねたフランクフルトは、「ゲームプラン」通りに2-0でベンフィカに勝利。2戦合計では4-4のドローだが、アウェイゴールの差で、準決勝進出を決めた。必要最低条件での勝利に、長谷部も手応えを得たようだ。

「本当にパーフェクトな試合運びだったと思うし、守備の部分でも相手にほとんどチャンスを与えていなかった。これ以上ない戦いだったと思います」

 次の対戦相手はチェルシー。だが、“ドイツ代表”のマインドを兼ね備えた長谷部に、臆するところはない。

「もちろんチェルシーはかなり強いチームです。これまで当たった相手より1ランク上かなとは思いますけど、そういうチーム相手にも、自分たちだったら何か起こせるんじゃないかなという感覚はあります。これまで当たってきたチームはラツィオ、マルセイユ、インテル、シャフタール、ベンフィカ…。本当にチャンピオンズリーグに出るようなチームなので、そういうチームを全部倒して上がって来れたというのは、自分の自信というより、チームの自信になる」

 日本人リベロの「新しい経験」は、「まだまだ」終わりそうにない。

「これまでもヨーロッパの舞台では、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出たことはありますけど、自分がチームの中心として、こういう形で勝ち上がれたことは、これまでなかったので、そういう部分では、また新しい経験をしているなっていうのも自分の中であります。この歳になってこういうキャリアを送れるとは、もちろん思ってなかった。この時間を楽しんで、まだまだ勝ち続けたいな、というのは正直あります」

(取材・文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

最終更新:4/19(金) 14:21
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