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【海外ボクシング】ウィークエンド・プレビュー クロフォードが人気者カーンと対戦

4/19(金) 19:22配信

ベースボール・マガジン社WEB

 世界的に見るなら、今週末、ボクシング興行は数も少なく、小粒なカードが目立つ。ただし、注目度数100のビッグマッチに、AA級の好カードがひとつと、熱心なファンにとってはお出かけをためらわせるのに十分。ことさらに注目はパウンドフォーパウンド・トップ争いの一方の旗手クロフォードだ。前週出場のロマチェンコがあまりの強さを見せつけた。さて、ライバルは何を見せるのか。

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4月20日/マディソンスクエア・ガーデン(アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク)

★WBO世界ウェルター級タイトルマッチ12回戦
テレンス・クロフォード(アメリカ)対アミル・カーン(イギリス)
※WOWOWオンデマンドでライブ配信

クロフォード:31歳/34戦34勝(25KO)
カーン:32歳/37戦33勝(20KO)4敗

 ロマチェンコとの力比べという意味合いももちろんながら、クロフォードの戦いっぷりが実に楽しみなカードだ。すばらしいハイテンポで対戦者の時間をどんどん摘み取るように追い詰めていくのがロマチェンコなら、クロフォードは時間と空間を自在に管理して、対戦者の攻防の意図を丸裸にする。手法は違えど、どちらも究極の技巧派だ。

 2014年、敵地スコットランドでリッキー・バーンズに判定勝ちしてWBO世界ライト級王座を手に入れて以来、世界戦12連勝9KO。最近5試合はいずれもKO・TKOで決着をつけている。本来はオーソドックスタイルながら、サウスポースタイルを織り交ぜるスイッチ戦法の使い手だったが、最近はサウスポースタンスを貫いて戦っている。どこか頼りなげだったのだが、今はすっかりたくましい。攻防の深みも増し、彼が戦いの中で提示するパズルは、対戦者にとっていよいよ難解になっている。

 そんな今が盛りのクロフォードと比べれば、カーンはすっかり昔の名前に思えてしまう。だが、ほんとうは1歳しか違わないのだ。カーンの台頭があまりに早く、一目散でトップまで駆け上って、しかも早々に穴を見せてしまった。そして今、彼の豊かなスピードをベースにした弾むように展開していく、その魅力も、イギリス以外のファンは半ば忘れかけている。17歳で出場したアテネ五輪で銀メダルを獲得。1年後、五輪決勝で敗れたマリオ・キンデラン(キューバ)を自国に呼び、アマチュアルール最後の試合で雪辱した上でプロに転向した。2009年には早くも世界タイトルを手にしている。

 そんなカーンも2011年にIBFとWBAスーパーのスーパーライト級王座を失ってからは、世界王座とは縁がなくなった。2度の返り咲きチャレンジは、ダニー・ガルシア(アメリカ)に3度倒されてTKO負け。2016年にミドル級にまで上げたWBC王座挑戦は、カネロ・アルバレス(メキシコ)のあざとい待ちの戦法にまんまとはまり、右カウンターで大失神した。つまりクロフォードがトップシーンに登場する以前に、カーンは世界獲り競争からは脱落していたことになる。

 今回のカーンは、カネロ戦から2年のブランクの後にカムバック、2戦の準備をこなして再浮上へのボルダリングになる。とはいえ、クロフォードの牙城は高すぎる。

 カーンの速くてもやや単調な攻勢を、クロフォードは持ち味の目の良さ、柔軟なボディワークとステップを駆使してかわしながらじっくりと間合いをはかっていく公算が高い。そして、中間距離からクロスレンジに移行する寸前に打ち込む多彩なショートのカウンターを狙っていくはず。カーンが攻め勝つためには、この綿密に張り巡らされたクロフォードのネットワークをすり抜けなければならない。これは大変、難儀な作業に思える。

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最終更新:4/19(金) 19:22
ベースボール・マガジン社WEB

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