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日立が“いまさら”全社員をデジタル教育する危機感

4/19(金) 12:00配信

日経ビジネス

 日立製作所は2019年4月17日、人材育成を担う新会社の説明会を開いた。全社員がIoTなどのデジタル技術の教育を受けられる体制を整える方針だ。新会社の迫田雷蔵社長は「日立の既存事業の変革につなげる」と意気込む。

日立アカデミーの迫田雷蔵社長。日立製作所の人事畑を一貫して歩み、日立アカデミーに統合した日立総合経営研修所の社長を務めていた

 4月1日設立の「日立アカデミー」は、日立製作所グループで教育を手掛けてきた3社を統合した会社。「マネジメントとIT(情報技術)、OT(制御・運用技術)に分かれていた教育プログラムを1社で一貫して提供できる」(迫田社長)。

 日立アカデミーは全社員がデジタル教育を受けられる体制を整える。先例となるのは2019年春入社の新入社員だ。情報・通信部門で実施していた合計6.5日のデジタル教育プログラムを、新入社員全員が受講できるようにした。6月末までに550人の教育を終える予定だ。

 日立が「いまさら」社員のデジタルリテラシーを底上げする狙いは何か。

 IT関連の部門に配属される新入社員だけでなく、電力や産業機器の部門に配属される新入社員も、ITの最新動向、IoTの仕組みや要素技術、業務革新の手法を学ぶことが欠かせなくなっている。もちろん新人だけではない。2020年度以降は入社後の社員が学び直しのために受講できるようにして、全社のデジタル技術の活用力をアップしていくという。

●教育量を1.5倍に

 新会社は、日立製作所がITとインフラ技術を融合させた「社会イノベーション事業」で磨いた方法論を、日立グループ全体に浸透させる役割も担う。アイデアの着想やデータの収集・分析などの技術を学べる100以上の研修プログラムを体系化し、各部署の社員が必要な技術を学べるようにした。迫田社長の目標は「デジタル対応に関する教育量を3年後までに1.5倍にする」ことだ。

 日立製作所の会長を務める中西宏明経団連会長は2019年1月、経団連と大学の協議会で「デジタル社会に必須となる数学や情報科学などの基礎知識を、社会人の素養としてすべての大学生が身に付けることを期待している」と述べた。そして日立は自ら、若手からベテランまですべての社員にデジタル技術の素養を身に付けさせて、変革のスピードを上げようともくろむ。

 デジタル・ディスラプターと呼ばれる、米ウーバー、エアビーアンドビー、リフトなどのベンチャー企業群は、技術を持つ人材を社内外問わずに活用して既存産業を駆逐していく。今回の動きは社員教育による戦力向上という、短期での人の入れ替えが難しい日本の大企業らしい対抗策といえる。有効か否かを占う、試金石となりそうだ。

竹居 智久

最終更新:4/19(金) 12:00
日経ビジネス

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