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遠藤航が選んだ便利屋とは違う道。「早く海外でボランチをしたかった」

4/20(土) 6:31配信

webスポルティーバ

 ポジション的に攻守において指示を出さないといけないシーンが多いだろう。遠藤にとって初の海外リーグということもあり、適応に時間がかかったのではないだろうか。

「最初はやはり言葉の壁がありました。ひとつ落としてもらうボールを何と言ったらいいのか、まずはそこから教えてもらう状況でしたので、言葉の面で慣れるのに時間はかかりました。

もちろん、特に大事なのは試合で結果を残すことだと思っていましたので、最初の試合に出場するまでは気持ち的にナーバスになっていました。そういう状況で、デビュー戦で得点を取れたことは自分の中で大きかったんです」

 海外では点を取るなどのわかりやすい結果を出さないと認められにくい。特別に何か意識していたことはあるのだろうか。

「意識はしてないですけれど、結果を残してなんぼだと思ってましたので、それが目に見える得点という結果として出たのは自分でも驚きではありました。点を取ること以外にも、周りから受け入れられるためには、しっかり自分のプレーを見せることが大事だと思ってやっていました」

 日本では浦和レッズや日本代表の遠藤ということで、周りから一目置かれる存在であった。

 ベルギーでは、ほとんど誰も遠藤航という名前を知らない中、どんな想いで初めての練習に参加したのだろうか。

「ベルギーでまた新たな戦いが始まると思っていたので、そういう割り切りがあったからこそ変なプライドもなく、ゼロからのスタートでここにいる人たちを認めさせるという気持ちで入りました」

 日本で活躍していても海外にフィットできずに帰国していった選手もこれまでに大勢いる。異国で選手として認めてもらうために必要なことは、これまでの経験から理解していた。

「プレーでしっかり示すことができれば、おのずといい選手だと周りの選手たちも思うだろうし、僕も日本でプレーしていた時に、外国人選手が加入した時は、まず最初の練習や最初の試合でどういう選手なのかを見ていましたからね。そのため初日の練習や試合はすごく気を遣っていました」

 第一印象は重要だ。初めにインパクトを残せると、少しミスをしたとしても調子が悪いだけだろうとポジティブに思われるが、第一印象が悪いとすべてがネガティブに評価され悪循環に陥っていく。

 そもそも海外志向だったのだろうか。

「18歳くらいからずっと、海外へ行きたいと思っていました」

 プロになってからはそこまで見られなくなったものの、中・高の少年時代はプレミアリーグなどをよく見ていた。

「もともとブンデスリーガやプレミアリーグが好きでした。最終的には行きたいですけれど、いきなりプレミアというのはなかなか難しいと思ってました。僕がプロに入ってからブンデスに日本人選手が多く行き始めて、自然とそこを目指すようになっていったんです」

 ベルギーリーグに行こうと思ったことは一度もなかったので、シント・トロイデンのことはまったく知らなかったという。

「海外志向が強かったため、海外からオファーが来そうだと思った時点で、『行きます』という姿勢だったから、あまり悩まなかったです。そう言ったら浦和に対して失礼に聞こえちゃうかもしれないですけど、浦和にリスペクトがあるうえで、自分の中では海外でやりたいという強い信念があったので、迷いはほぼなかったんです」

 2018年のロシアワールドカップではメンバーには選ばれたものの、出場機会は訪れなかった。この悔しさが海外に移籍する引き金になったのだろうか。

「それはワールドカップだけじゃなくて、ずっと感じていたところでした。たまたまワールドカップがあって、もちろん(試合に)出られない悔しさもありましたけど、やはり海外でバリバリやっていないとワールドカップのピッチに立つのは難しいというのは理解していました。

 もっと早くに海外へ行って、しっかりボランチとしての経験を積んだ状態で、ロシアで試合に出ているというのがイメージしていた一番の理想像でしたが、そこは現実もしっかり見ながら、これからまた経験を積み上げていければと思います」

(後編につづく)

菊池康平●文・写真 text&photo by Kikuchi kohei

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最終更新:4/20(土) 6:31
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