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メキシコに「国際結婚移住」した日本人妻の苦悩

4/20(土) 5:50配信

東洋経済オンライン

 メキシコ・グアナファト州のピピラの丘に登ると、おもちゃ箱をひっくり返したような景色を見ることができる。山肌に積みあがるカラフルな家、黄色くて丸みを帯びた教会――。ファンタジー映画が好きなら、「こんな場所に住んでみたい」と憧れるかもしれない。

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 実際、メキシコの中でも比較的治安が安定しているグアナファトには、日系企業が多く、駐在している日本人家族も多い。そんな街に、国際結婚後に移住という形でやってきたのが、河村博美さん(仮名・34歳)だ。

■日本に留学していたメキシコ人男性と結婚

 絵を描くことが好きだった博美さんは、日本でグラフィックデザイナーとして働いていた。その後、得意の英語力を生かし、留学生をサポートする仕事に転職。そこで、夫となるルイスさん(仮名・37歳)と知り合った。

 恋愛感情がなかった頃から、博美さんにはなぜか「いずれこの人と一緒になる」という、奇妙な感覚があったという。ルイスさんの両親が日本に遊びに来たときも、まだ交際していなかったため会うことはなかったが、「将来お世話になるだろう」と手土産を渡していた。

 やがて博美さんの予感どおり、2人の交際がスタートする。優しくて、何事にも動じない包容力のあるルイスさんとは、一緒にいて安心できた。プロポーズされたときは、うれしくて薬指の指輪をずっと眺めていたという。留学期間が終わり、ルイスさんがメキシコに帰国するタイミングで結婚。博美さんもメキシコに移住する決心をした。

 「ここに来たのは、今思えば勢いですね。私はメキシコのことを何も知らなかったので、妻として、夫の国を知りたいと思いました」。博美さんには、20代の頃に1年間、ワーキングホリデーでカナダに暮らした経験がある。メキシコはスペイン語圏だが、英語ができれば何とかなるだろう。ある意味、楽観的な気持ちで、メキシコでの新生活をスタートさせた。

 しかし、現実はそう甘くはなかった。

 「この街に来て、あまりに英語が通じないことにビックリしました」

 メキシコ政府観光局によると、グアナファト州は年間500万人以上が訪れる観光都市だが、英語が通じるのは観光地のホテルやレストランのみ。博美さんらが住む地方は、スペイン語しか通じなかった。もちろん、ルイスさんの家族との会話も、スペイン語のみだ。

 家族は、遠い国からやってきた博美さんを歓迎してくれた。だからこそ、コミュニケーションが取れないことがつらかった。みんなが冗談を言って笑い合っているのに、自分だけ理解できない。その場の空気を壊さないよう、半笑いの顔をキープしたまま、黙っているしかなかった。

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最終更新:4/20(土) 7:45
東洋経済オンライン

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