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佐々木朗希を敵将も「日本の宝」と絶賛する理由は?

4/21(日) 11:03配信

週刊ベースボールONLINE

 4月20日を、首を長くして待っていた。仙台育英高(宮城)と大船渡高(岩手)は昨年10月に練習試合を組んだ時点で、次年度のスケジュールを調整した。ところがこの4月20日、仙台育英高は県大会中部地区予選と重複してしまった。とはいえ、中止だけは是が非でも回避したかった。誰よりも対戦を心待ちにしていたのは、仙台育英高・須江航監督であり「1ファンとしても見たかった。子どもたちも、楽しみにしていました」と語った。

 当初の開始時間からずらして、異例とも言える公式戦後に練習試合を組んでいる。そのお目当ては、時の人である163キロ右腕・佐々木朗希だ。日米20球団40人のスカウトが視察し、報道陣50人以上が取材に訪れ、練習試合とは思えない注目度であった。

 この日の佐々木はあえて、ストレートを封印した。連戦が想定される夏の岩手大会を勝ち上がるために、変化球(カーブ、スライダー、チェンジアップ)主体のスタイルに終始。これまでの「全球全力」のイメージから一変したスタイルを披露している。最速は150キロにとどまったが、意図的に力を入れた真っすぐはやはり、威力十分であった。

 4回途中2失点。この時期はいろいろと試す段階であり、収穫が多い登板となったはずだ(試合は仙台育英が8対4で勝利)。佐々木は初回に推定130メートルのバックスクリーン弾を放ち、バットでも「令和の初代怪物」と言われるだけの潜在能力を発揮している。

 試合後の須江監督はまるで、球児のようなすがすがしさで佐々木の投球を振り返った。

「彼は考えながら、『チームを強くしよう!』という姿勢が見え、外野のポジショニングの指示など『皆で成長していこう!』という心意気を感じました。(フォームが)きれいで、強い。美して強い高校生というのは、なかなかいないです」

 新たな顔をのぞかせた投球についても「回転数か何か分かりませんが、同じ真っすぐでも、質が上がった。順調に成長しているのはすごい」と、昨秋からの進化を認めている。

 さらには、こうも言及した。

「(佐々木投手がいることで)東北のレベル、岩手のレベルも間違いなく上がる。この春も勝ち上がれば東北大会で対戦するチャンスがありますし、甲子園で当たることを想定すれば、もっと頑張らないといけないと、モチベーションをくれる存在。唯一無二の存在です」と褒めちぎった。

 そして、須江監督は「日本の宝だと思います」と最大級の称賛をしている。

 平成の怪物・松坂大輔(中日)が横浜高在学中の1998年当時、全国の高校生からターゲットにされる立場であったように、佐々木も事実上、令和元年の高校生世代のトップランナーに立ったと言っていい。

 さて、4月20日、仙台育英高は慌ただしい1日となった。東北生文大高との公式戦で逆転勝利(5対2)したのは午前11時18分。試合後、すぐに仙台市民球場を引き揚げ、同校グラウンドへ戻ると13時前にはプレーボール。大船渡高とはダブルヘッダーを消化し、1日3試合の超ハードスケジュールも疲労感はない。それ以上に、得たものは大きかった。須江監督の笑顔を見れば、一目瞭然。佐々木朗希との対戦を、首を長くして待った指揮官の期待通り、充実の1日を終えた。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明

週刊ベースボール

最終更新:4/22(月) 11:21
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