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21世紀のジャズを流行らせた「メディア発のムーブメント」はいかに誕生したか|柳樂光隆(『JAZZ THE NEW CHAPTER』)

4/21(日) 11:01配信

FINDERS

(この記事は2018年6月19日にFINDERSにて掲載されたものです)

「ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」を副題として、2014年に刊行スタートしたムック本『Jazz The New Chapter』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。瞬く間に話題を呼び、この6月には第5号を世に送り出したのが、同シリーズ監修を務める音楽評論家、柳樂光隆氏だ。

ジャズという、ある種の格式を強く帯びる音楽に新風を吹き込んだ本の持つ価値は、「新世代ジャズの入門書」というありきたりな冠で語るには物足りない。2000年以降の現代ジャズシーンをはじめとする「21世紀の音楽」の語り部として注目を集める柳樂氏本人の目線は、今メディアが世に何かを問うときのあるべき振る舞いを教えてくれる。

レコード屋勤務で編集的センスを培った

ーー 柳樂さんの肩書は音楽ライターではありますが、『Jazz The New Chapter』(以下、JTNC)には編集者的な視点を強く感じます。柳樂さんはもともとレコード屋の店員さんだったんですよね?

柳樂:以前は「珍屋(めずらしや)」という、国分寺と立川にある、いわゆる街のレコード屋で働いてましたね。ディスクユニオンで働いていたこともあります。

ーー そこからライター・評論家として世に出られるようになったわけですが、編集経験を経ずして5冊続くシリーズをトータルプロデュースできたことに驚かされます。

柳樂:それは、レコード屋の店長として店を切り盛りしていた経験が大きいでしょうね。店内の壁を塗り直したり照明を替えたり棚をつくり替えたり。編集的な考え方は、若い人がお店に入りやすいようにと自分でやっていた、店づくりと近いかもしれません。フライヤーをつくったり、フロアの中をデザインしたり、SNSのアカウントをつくったり。お店の経営者の感覚の延長に、編集があったんですね。それは珍屋のようなスタッフに裁量がある個人店でしか得られない経験だったと思います。

(写真:6月19日に発売したばかりの『JTNC5』では、新作が完成したカマシ・ワシントンらを取り上げる「サックスとジャズ」、スヌープ・ドッグからケンドリック・ラマーまでLAヒップホップの多様性を捉え直し、密接につながる最先端のLAジャズ・シーンに迫る「LA再考」、クラシックやアメリカ音楽との関係を軸に、ジャズの起点に立ち返って「今」を紐解く「ジャズとは何か」の3つの特集が組まれている)

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最終更新:4/21(日) 11:01
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