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思った通りにいかないと泣き出す社員がいる職場の問題点

4/21(日) 18:31配信

@DIME

@DIME連載/あるあるビジネス処方箋

 子どもの頃、何かの競争で勝てないと泣き出す子がいなかっただろうか。周囲が配慮し、ご機嫌をとり、ついにはその子の思うままになる。本人はおそらく、内心、ほくそ笑んでいるのだろう。「弱者」を演じつつ、利益を獲得しようとしているように私には見える。

 このような子どもじみた行動をとる会社員を少なくとも5~10人は見たことがある。勤務する会社は、そのほとんどが社員数100人以下だった。組織や様々な仕組みが未熟であるがゆえにいわゆる、人事マネジメントが大企業のようには機能していない可能性が高い職場である。

 得てして、こういう職場には風変わりな社員がいる。その1つが、思うままにならないと泣き出す社員だ。大人とは言い難い妙なプライドを持っていて、それが刺激されると興奮する。これらの言動で特に印象に残っているもの、その背景にあると思われるものを私の観察を通じた考えをもとに紹介しよう。あくまで、「反面教師」として参考にしてほしい。

 15年ほど前、自分の企画を会議で上司(40代、男性、部長)から否定されると、20代後半の女性は黙った。斜め下を見つめ、怒っているようだった。外部からオブザーバーとして参加した私はテーブルを隔てて向かいの椅子に座っていた。女性のしぐさや表情の一部始終が見える。会議が終わるまで、上司は女性のご機嫌をとって話しかけたが、下を見たままだった。しばらくすると、泣いていた。会議の参加者10人程は、しだいに発言をしなくなった。上司から聞くと、会議が終わり、部員が自席に戻った後、女性は周囲と話をしなかったようだ。数日間、ふてくされたままで黙っていたという。

 部員たちによると、女性は前々から意にそぐわないことがあると感情をむき出しにしていたようだ。そして、泣き始める。本来、上司は厳しく指導をするべきだが、しようとしない。彼女は味をしめたのか、何度も繰り返していたようだった。これは事実上、上司と部下の関係が逆転している。女性がふてくされると、上司は仕事をふらない。なぜか、ほかの部員にまかせていたようだ。誰が管理職で、誰が部下であるのか、もはやわからなかったという。

 私の観察では実は、上司もまた、子どもじみた行動をとる。特に目立つのが、自分の考えや意見に疑問を呈する部員がいると、感情的になり、否定することだ。会議で「自由に意見を言ってほしい」と言いながら、部員が部の運営のあり方に意見を言うと、終了後、その男性だけを残し、「TPOをわきまえて発言するように」と説教したという。しかも、「君の人事評価を下げるよ」と脅していたようだ。



 上司は日ごろから常に自分が正しく、常に部下や同僚に問題があるという捉え方をするようだ。自分が常に正しいと信じ込んでいるならば、あえて話し合う必要はなく、その上司の思うままにさせておくのがいい。いつしか、この部ではほとんどの社員が意見を言わなくなったという。

 前述の女性社員のようなタイプが誕生するのは、こういう背景があるからだと私は思う。結局、意にそぐわないと感情をむき出しにする上司がいるから、女性はそれを見て「学習」するのだと私は思う。

 10数年後、上司は役員になった。女性は30代後半で課長に昇格した。嘘のような本当の話である。聞くところによると、上司の同世代(現在、50代後半)はほとんどが20~30代で退職した。ライバルがおらず、倍率1倍の役員昇格といえよう。女性の同世代も、男女ともに半数以上が20~30代で退職したという。私の観察では、社員数100人以下の会社ではこういう人事が頻繁に起きている。

 この上司や女性は現在、自分の部下の前で子どもじみた行動をとるようだ。相変わらず、感情をむき出しにして、意のままに動かそうとする。ところが、部下たちを盛んにけなす。小さな会社の社長や役員を取材すると、自社の社員をけなすことが多い。中には、こちらが憂うつになるほどに社員をバカにする役員もいる。自信のなさや劣等感が透けて見えてくる気がする。社員の側にも問題はあるのかもしれないが、実はその社長や役員もそれなりのレベルなのだと私は思う。似たものどうしであり、ある意味でバランスがとれているのが、会社なのだ。

 感情をむき出しにして、子どもじみた行動をとる社員がいたら、その上司やさらに上の役員、社長などをそっと観察してみよう。似たものどうしである可能性が相当に高いはずだ。仮に読者が20代で、このような会社にいるならば、私は転職を勧めたい。今の会社の前途は明るいとは言い難いからだ。その若さで、冴えない上司たちに人生を捧げるなんてあまりにも惜しいではないか。

文/吉田典史

@DIME

最終更新:4/21(日) 18:31
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