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イクメンでも、妻子を迫害するモラ夫たちもいる<モラ夫バスター8>

4/21(日) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

◆「育児をしない男」は当然モラ夫だが……

 1999年、厚生省(当時)は、「育児をしない男を父とは呼ばない」とのポスターを作成、公表し、賛否両論を巻き起こした。まだ、「イクメン」という言葉が生まれる前の話だ。

 それから20年、日本に「父」は一向に増えない。多くの日本男性は、いまだ「育児をしない男」である。父が増えなければ、子も増えない(少子化)のは当然だろう。そして、「父になれない男」の多くは、モラ夫に違いない。

 妊娠、出産は、夫婦の危機である。妊娠出産によりモラスイッチが入ることも少なくない。多くのモラ夫たちが不倫に走るのも、この時期だ。

 高学歴で、有名企業に勤める30代初めの男性は、第1子の出産が近づく妻に対し、「俺は、父親になれない」「その子は、俺の子じゃない」と言い続けた。妻に不審な点があったのではない。どうしても父になる覚悟がつかなかったのである。妻が里帰り出産の間、彼は、昔の女友達と遊んで気を紛らわしていた。

 他方、日本では少数ではあるが、「父になる」男たちもいる。その多くは、健全男子/非モラだろう。しかし、育児をする男の中にも、相当数のモラ夫がいる。日本社会の闇は深い。

◆自称イクメンは多くの場合がモラ夫である

 まず、「育児をしている」と主張するが内容の伴っていないモラ夫たちがいる。自称「イクメン」だ。

 モラ夫にとって、針を棒(つまり、針小棒大)は、朝飯まえだ。いや、針ほどあれば、大木と言い張るかも知れない。 しかも、保育園の送り迎えをするだけで、世間から「偉いわねぇ」「イクメン!」とおだてて貰える。つまり、日本の男たちは、社会から徹底的に甘やかされているのである。その結果、モラ夫たちは、自分でも「俺はイクメン」と信じてしまう。

 私の知る限り、このような自称「イクメン」は、相当数に上る。

「育児を分担していました!」と言うので、聞いてみると、モラ夫の育児は、だいたい風呂、育児指令、そして、公園に連れて行く程度のことが多い。

 風呂の場合、まず、夫が風呂に入り、妻が子どもを裸にして夫に渡す。夫が子どもを洗い、風呂につからせ、裸のまま妻に返す。妻は、体をふき、服を着せる。夫は、確かに風呂には入れているが、「イクメン」と威張る程のものではない(そもそも、育児は、父として当然のことであって、威張るものではない)。

◆口だけ出して子育てをしているつもりの「育児指令型」

 育児指令の場合、例えば、「おい、お尻臭いぞ!」、「なんで泣いているんだ、そうか、ミルク欲しいんだな、おいミルク」と妻に指令する育児である。

 法廷で、「私も、育児を分担していました」と堂々と述べるので、その内容を尋ねると、結局、育児指令だけのこともある。「なぜ、(お尻が臭いと)気付いたあなたがオムツを取り替えないんですか」と尋ねると、自称「イクメン」は、不思議そうな顔をする。育児指令でも十分に育児を担当していると考えているらしいのだ。認知が歪んでいると言うべきだろう。

 公園に連れて行っても、子どもを遊ばせ、自分はベンチでタバコを吸ったり、スマホをいじったりするだけのモラ夫も多い。単に、見守っているだけなので、子どもはすぐに飽きてしまって、「ママがいい!」と叫んだりする。モラ夫たちにとって、子育ては、妻の責任なので、子どもの態度が「悪い」と、「お前(妻)のしつけがなっていない」と妻を叱責することになる。

◆「妻がやるべきことを俺がやってあげている」

 さて、「自称イクメン」だけでなく、真正のイクメンでもモラ夫はいる。

 妻もフルタイムで働いている30代の夫婦は、結婚して数年で娘を授かった。夫は、勤務時間が比較的自由で、子煩悩だったため、積極的に子どもを世話してきた。料理はしなかったが、掃除、洗濯の一部を分担する等、日本男性としては、優秀な部類に入る。

 ところが夫は、些細なことでキレて、怒鳴り散らす。例えば、夫の旅行鞄が見つからないと、「どこへやった!みつからないじゃないか!」と妻を詰りだし、1時間近くもえんえんと文句を言う。そして、俺はこんなに努力しているのに、なぜ評価されない!と大声を張り上げる。つまり「妻が負担するべき家事、育児を分担」してやっているという意識なのだ。

 妻が反論しようものなら、いつでも俺が悪者にされるとキレて、包丁を持ち出し、「そんなに言うなら、俺を殺せ」と妻に迫る。つまり、妻からの批判は一切受け付けないのだ。

 イクメンの彼であったが、娘のイヤイヤ期を乗り越えることはできなかった。自我の芽生え始めた娘にキレ、娘に対しても大きな声で怒鳴るようになった。

 この夫婦はその後、別れた。娘は、父を「ガミガミさん」と密かに名付けていたが、今は「ガミガミさん」と別れて、伸び伸びと暮らしている。

 以上、私の知る限り、多くの日本男性は、「父」になることができない。男の子の育て方、男を甘やかすモラ文化(男尊女卑等を始めとする、モラ夫を生み出す社会的、文化的規範群)に根本的問題があるのだろう。

 男の子には小さいうちから、よい父、よい夫になる訓練をし、家庭の幸福とは何かを教える必要があると私は思う。

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

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最終更新:4/21(日) 11:03
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