ここから本文です

お疲れ女子がディープにハマった「銭湯」の魅力

4/21(日) 16:00配信

東洋経済オンライン

 『銭湯図解』を書いた老舗銭湯24軒をイラストとエッセーで紹介した本が人気を集めている。脱衣所や浴室の造り、お湯の色に鏡の形、お風呂いすのサイズ、それぞれ違って実に細やか。空間全体からタイル幅まで建築図法を用いて実測しながら、柔らかな線と色彩で再現した。ページをめくるうちに、湯船につかる心地よさがジンワリ染みてくる。おけを床に置いたときの“コーン”という残響まで聞こえてきそうな、銭湯愛に満ちた1冊。著者の小杉湯番頭兼イラストレーターの塩谷歩波氏に聞いた。

この記事の写真を見る

■ガイド本とは違う側面で銭湯を語りたかった

 ──銭湯にハマったきっかけは、前職の設計事務所で頑張りすぎて疲れてしまったこと、だったとか。

 私自身がのめり込みやすい性格で、時間を気にせず目いっぱい仕事をし、夜中に自転車で帰っていました。自分の生活をおろそかにしてたんです。それで体調を崩しちゃった。会社はだいぶ気遣ってくれましたが、医師の診断で3カ月休職することに。その間に友人と一緒に銭湯に行ったのが、本格的な出合いでした。

 学生時代にも泊まり込み作業のときなど、家風呂代わりに銭湯に行ってはいたんですが、このときの見え方は、全然違ってた。精神的に追い込まれ、体が硬直してカチカチになっていたのが、昼間の銭湯ですっかり癒やされ、肩の力が抜けた。たまたま来ていたおばさんとたわいない話をするのも、とてもすてきな時間でした。あつ湯と水風呂に交互に入る交互浴という入浴法があるんですが、それが私に合っていたみたいで、通えば通うほど体調がよくなった。お医者さんにも、体を温めるのはいいから、と勧められました。

 ──絵に手書き文字風の吹き出しが付いていて、各銭湯の印象がより深まります。印象に残ったのが、18番目に登場する東京・武蔵境「境南浴場」のサウナの箇所。「つらいことがあったとき、ここで汗だか涙だか分からなくなるぐらい泣くのがよい」と。つらかった時期の記憶がふとよみがえった? 

 そうですね。境南浴場は絶対に描こうと決めていました。泣くために行くって、なかなかないですよね。そういう接し方を銭湯とできるなんて思ってもみなかった。今回本にするに当たって、ガイド本やうんちく本とは違う、自分の経験を通した、少し違った側面で銭湯を語りたいと思いました。

1/3ページ

最終更新:4/22(月) 10:45
東洋経済オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事