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ファーストリテイリング決算会見 質疑応答で飛び出したこと

4/22(月) 5:00配信

商業界オンライン

 2019年8月期上期の決算( 「5分で理解 ファーストリテイリング最新業績」 )と、それに併せて柳井正会長兼社長が3つのテーマで話したこと( 「柳井正会長兼社長 今後の展望を語る」 )に続き、記者会見の質疑応答で飛び出したことをまとめたのが、この記事。読者が知りたいことを記者が代わりに聞いています。

――『有明プロジェクト』で具体的に整ってきた環境とは?

柳井 部署別でなくて全員で共同で仕事をしていくこと。例えば、商品企画の人、生産の人、マーチャンダイジングする人、店頭の人といった人たちが一堂に即集まって、問題点を討議して結論を出す。そういったことを常時できるような環境と、そういうことが仕事だということ。今までは部署別に仕事をすることが仕事だったが、同時期にいろいろな部署の人とコミュニケーションして結論を出し、そして実行することが仕事だというように意識が変わってきた。

――(柳井会長の)座右の銘の1つに『企業は欠乏によって滅びることはない。過剰によって滅びる』とあるが、今のファーストリテイリングの欠乏と過剰な部分は?

柳井 過剰に関しては、油断ということだと考えます。事業がうまくいっていると、人間の習性ですが同じことを繰り返す。同じことを繰り返すことが失敗の原因になると思います。去年も今年も来年も同じということは全くなくて、去年と今年は違うし、今年と来年も違う。違うことがどういうことなのかということを、日々の気配あるいは数字、あるいは店頭の情報で知る。よく『三現主義』というが、現場、現物、現実を見て、その時点で全員の情報を集結して、理解して、判断して、実行していく。そういうことを繰り返すことが大事なことだと思います。そのためには、経営者の危機感が一番大事だと思います。企業というのは放っておくとつぶれるという習性を持っているからです。

――EUが英国離脱の再延期で合意したが、ブレグジットの影響をどう見ているか?

岡﨑 短期的には物流の混乱が十分想定されるので、それに対しては何が起きても大丈夫なような備えを進めています。中期的には人の移動が滞ることによって採用が難しくなるといった問題が出てくると思いますので、これについても対応を考えてきておりますが、それを越えて今のわれわれのモデルを変えていかなければならないような大きな問題には今のところならないだろうと考えています。ただ、予断無く見守っていきたいと思います。

――消費増税に対する備えは? また、影響をどう見るか。

岡﨑 増税そのもののわれわれの商売に対する影響は、前回の経験からしてもごく短期にはあるかもしれませんが、それほどないだろうと思っています。ただ当然、お客さまの価格に対する感応度は厳しくなってくると思いますので、しっかり満足していただけるような運営をしていかなければならないと思っていますが、その他、大幅な景気の減速であるとか、環境が悪くなるとか特に懸念していることはありません。技術的なことでその他問題があるとも思っておりません。

――国内はここ数年は出店よりも退店の方が若干上回っているが、出店戦略は? 飽和という認識か? また出店のペースは?

柳井 出店のペースというよりも、スクラップ&ビルドの必要があるのではと思います。今後、店がある意義がある店舗しか存在できないというように思います。お客さまにとってプラスになっているかどうか、そういう機能を持っているかどうかということが大事です。むしろそういう機能よりも、例えばダイレクトビジネス、ECの方がいいような場合には、ECに取って代われると思います。ただし、店として特にアパレルの場合、サイズとか質感、色など実際に着てみないと分からない商品が非常に多いので、ECと小売りと結合した新しいタイプの業態・業種みたいなものに全部の会社が向かうのではないかと考えています。その延長線上で意味がある店、自分たちの店だと言いわれるような品揃えの充実したお店に全部変わるのではないかなと思いますけど。

――『有明プロジェクト』が実践段階に入ったということだが、具体的には? 「情報製造小売業」という観点から、どうとらえている?

柳井 超情報化社会になって、中国でデジタルを扱ったO2O(Online to Offline)が決め手になるのではないかと思います。そのときにサービスをするのは店頭の社員であり、社員と現地のヘッドクオーター(本部)、グローバルのヘッドクオーターがいかに一緒に仕事ができて、お客さまのために最善の策を講じることができるのかということが大事だと思う。それはECであっても、小売りであっても変わりないし、そういうことを意識しなくても、いつでもどこでも、誰でも買える、そういう環境をつくるということではないかなと思います。それが『有明プロジェクト』ということ。企画、生産、販売、物流が一緒に仕事をしていく環境と、情報を満遍なく共有して仕事をしていくというスタイルに全員が変わるのではないかなと思います。

――中国事業が好調というが、市場をどう見ているか? 今後、2級都市、3級都市に出店するということだが、出店戦略は?

柳井 わたくしは全くアパレルの消費に関しては減速することはないと思います。年間50兆円という需要があるということと、われわれまだ1000店舗にも達していません。13億人がいるという事実。その人たちが今までの生活の向上を続けて、いよいよ中間層になってきて、実際の購買層になっていく。生産だけではなしに、購買マーケットとしては世界最大のマーケットになっていくのではということ。(中国の場合)2級都市、3級都市といっても日本でいう2級都市、3級都市ではなくて、それぞれの都市が何百万人という人口を持っていて、しかも中間層がたくさんいる状態なので、決して減速することはないかなと思う。

潘 われわれ、実際に中国で2級都市、3級都市に既に進出しており、例えば上海とはるかに離れた西南地域に2級都市があるんですが、中心部の店の売上げは(上海と)ほぼ同じくらい。全然負けないくらい売上げは取れています。さらにユニクロは1店舗、1店舗、『個店経営』でていねいに経営しており、各店の業績を常に改善できるようになっています。中国の大手デベロッパーは常にユニクロをテナントとしてナンバーワンブランドと見て、われわれに積極的に出店するように働き掛けてきています。その中でパートナーシップをきちんと組んでいき、中国の全国出店のネットワークの充実を図っていきたいと考えています。

 ユニクロはすごく早期からEビジネスに力を入れておりまして、常に新しいことに挑戦しつつ、O2Oといっていますが、リアル店舗とEコマースを常に連動するような集客であったり、売上げを取る施策を実施しています。『W11』というEコマースの大きなイベント(シングルデーに行われる)があるが、そこの小売りの中ではわれわれが中国ナンバーワンの売上げを常に取っています。そういう現状の下、われわれのこれからの成長のポテンシャルは大きいと確信を持って進めていきたいと思っています。

――インドのポテンシャルは?

柳井 インドは将来の大国になると思います。市場としてまだ未開発です。たぶん20年前、30年前の中国のような現状だと思いますが、ただし、理科系の高等教育に関してはすごく立派な人材がいます。現にアメリカのセオリーのCEOがインド人のデニッシュに代わりました。ITの代表的な企業のCEOはインド系の人が一番多くて、人材面でいっても経営者人材はインド系の人が世界中で活躍するのではと考えているので、ぜひわれわれもインド系の人たちと一緒に仕事をしていきたいと考えています。

――原宿にオープンした「GU STYLE STUDIO」の進捗状況と、課題は?

岡﨑 まだ実験的な段階で、これからさまざまな顧客行動の変化が見込まれる中で、いろいろ試している。あのフォーマットそのものをどんどんやっていくということではなくて、あそこから学べること、使えるもの、使えないものが見えてきていますので、ユニクロを含めた全店舗に拡大していくようなヒントになればということです。ですので、あれそのものにあまり注目していただくというよりは、その中での一つ一つの経験が生かされていくというようにとらえていただいたらいいんじゃないでしょうか。

まとめ・藤平吉郎

最終更新:4/22(月) 5:00
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