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投資家ジム・ロジャーズ「日本は世界でいちばん好きな国のひとつ。だが…」

4/22(月) 11:58配信

PHP Online 衆知(Voice)

<<著書『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)が15万部を突破したジム・ロジャーズ氏。

「大の親日家」を自認するロジャーズ氏が世界経済の先行きを見据えながら日本がもう一度世界経済でプレゼンスを高めるうえで、「日本の強み」を日本人自身が思い出すべきだと、月刊誌『Voice』上にて語っている。本稿ではその一部を紹介する。(聞き手:大野和基)>>

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年3月号)に掲載されたジム・ロジャーズ氏のインタビュー「品質、勤勉、貯蓄こそ強みであることを忘れるな」より一部抜粋・編集したものです。

「歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどない」

――(大野)2018年夏、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げ、以来、熾烈な貿易戦争を繰り広げています。その影響をどう考えますか。

【ロジャーズ】じつに愚かな措置です。貿易戦争から、勝者は生まれません。どの国にとってもマイナスになるのです。貿易戦争をしている当事者はもちろん、他の国まで苦しむことになる。日本も巻き込まれ、悪影響を受けるでしょう。

トランプ大統領はアメリカが貿易戦争に勝つと思い込んでいるようですが、それは間違っています。彼は、自分は歴史より賢いと思っているのだろうか。

歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかるはずなのですが……。

――日本には「米中の仲介役を果たせ」という意見もありますが、貿易戦争の悪影響を軽視してきた面があります。

【ロジャーズ】経済危機というのは、1日や2日で起きるものではないのです。経済に実際に影響が与えられるまでには、時間がかかるということです。下げ相場は、たいていそのようにして起きます。

2008年は、リーマン・ショックで世界中がひどい下げ相場になった年でした。2007年4月、サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻。

さらに同じ年の7月、格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げ。10月には、投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任しました。

それから半年後の2008年5月、アメリカの大手投資会社ベアー・スターンズが破綻し、人びとは何かがおかしいとざわつき始めたのです。

そしてその4カ月後、2008年9月にあのリーマン・ブラザーズが破綻し、それでようやく誰もが気付いたのだ。「大変だ!何か大きな問題が世界で起きている」と。

危機というのは、いつもこのようにして起きます。誰も気付かないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていくのです。そしてテレビで報道されたときに初めて、「何か大変なことが起きている!」と多くの人が知ることになります。

――経済の先行きを悲観的にみているわけですね。

【ロジャーズ】歴史的にみると、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻しています。

ここ数年で起きた出来事はすべて、もうすぐ甚大な経済問題が起きることを意味しています。リーマン・ショックから約10年が経ったいま、いつ何が起きてもおかしくありません。

アメリカの株式市場は、2009年3月に底を打って以降、10年近く上昇を続けている。これは史上2番目の長さです。歴史を学んでいれば、現在のアメリカの上昇相場がいつか必ず止まるということは、誰にでも予想できるでしょう。

アメリカの中央銀行(連邦準備制度理事会)の前議長ジャネット・イエレン氏は、「経済問題は2度と起きない」と断言した。

もし彼女の言うことを信じるのなら、私の言葉を聞く必要はありません。しかし、いつか彼女が愚か者に見えるときが来るでしょう。

次に起こる経済危機は、われわれの人生で最悪のものになるでしょう。その危機から脱出できる人は、そう多くはない。それほど深刻で破壊的な危機が、いま目の前に迫っているのです。

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最終更新:4/22(月) 11:58
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