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太古の「百獣の王」 新種の絶滅哺乳類を発見 アフリカ

4/22(月) 17:12配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

2200万年前のアフリカで繁栄、ホッキョクグマより大きい

 アフリカ、ケニアのナイロビ国立博物館の引き出しに何十年も保管されていた化石が、新たな分析により、ホッキョクグマより大きい絶滅動物であると判明。新種「シンバクブワ・クトカアフリカ(Simbakubwa kutokaafrika)」と命名され、古脊椎動物の学術誌『Journal of Vertebrate Paleontology』に発表された。

ギャラリー:決定版 アフリカの野生ライオン集団に密着 写真20点

 論文によると、この強力な捕食者が地上をのし歩いていたのは今から約2200万年前のこと。シンバクブワはスワヒリ語で「大きいライオン」という意味だが、この動物はネコ科動物ではなく、ヒアエノドン科という肉食哺乳類のグループに属している。ちなみに、ヒアエノドンという名称は、その歯がハイエナに似ていることに由来しているが、ハイエナとも別のグループだ。

 今回の発見は、当時のアフリカの生態系の頂点付近にいたヒアエノドンの進化について知る手がかりとなるほか、これらの頂点捕食者が最終的に生き残れなかった理由の解明にも役立つ可能性がある。

 米ニューヨーク州立大学バッファロー校の進化生物学者ジャック・ツェン氏は、今回の発見について「これまであまり知られていなかった肉食捕食者を表に出す良い機会です。ライオン、ハイエナ、オオカミなど、今日のおなじみの食肉目の祖先さえ登場していなかった時代には、支配的な捕食者はヒアエノドンでした」と語る。氏は今回の研究に参加していない。

肉を引き裂く歯が3対も

 2013年、古生物学者のマシュー・ボーツ氏は、ヒアエノドンに関する学位論文のためナイロビの博物館で調査していた。ある日、「ハイエナ」と書かれた引き出しの中に、変わった化石を見つけた。

 その化石は、1978年から1980年にかけてケニア西部で発掘されたものだった。ボーツ氏は早速、米オハイオ大学の古生物学者で、アフリカの古脊椎動物を研究しているナンシー・スティーブンス氏に連絡を取った。実はスティーブンス氏も、ナイロビで研究していたときに同じ引き出しを開けて、その中身に首を傾げたことがあったと打ち明けた。

「別々の時期に同じ引き出しを開けて、同じ感想を持ったのです。すごい偶然でしょう?」とボーツ氏は言う。スティーブンス氏はボーツ氏を自分の研究室に招き、2人は2017年に再びナイロビ国立博物館を訪れて化石標本の調査を始めた。その中には、問題の動物のあごの骨のほか、頭骨や骨格、歯の一部もあった。

 肉食哺乳類では、獲物にかみ付くのに役立つ犬歯が注目されがちだが、奥の歯も重要だ。

「肉を引き裂くのは後方の裂肉歯です」とボーツ氏は言う。ネコやイヌ、オオカミ、クマなど、現代の食肉目はみな、肉を引き裂く1対の裂肉歯をもっている。これに対し、ヒアエノドンには裂肉歯を3対もつものがいる。「彼らは肉切りナイフをたくさん持っているのです」とボーツ氏。

 裂肉歯は、この絶滅哺乳類の全体像を解き明かす鍵となった。歯がなければ、「パズルの端の方のピースばかりで、その間が埋まらないような状況」だっただろうとボーツ氏は言う。

「歯の情報に加え、頭骨や骨格の情報が少しずつ合わさることで、散らばった多くの要素が結びつくのです。ヒアエノドンのグループ全体の理解にも役に立ちます」

 ツェン氏はこの研究を高く評価する。「大型動物の化石記録が見つかるたびに、捕食者と獲物の間でどのような相互作用があったのか、考え直すことができます」

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