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「私は寝てないんだ!」印象的すぎる「謝罪会見」の平成史

4/22(月) 6:00配信

文春オンライン

謝罪の意思があっても……

 他にも逆ギレ発言として非難を浴びた会見がある。平成23年(2011年)5月に「焼肉酒家えびす」が提供したユッケによる集団食中毒事件で、運営会社であるフーズ・フォーラスの勘坂康弘社長が行った謝罪会見だ。

「このような事態を起した、これに関しては真摯にお詫び申し上げる。大変失礼いたしました」

「取り返しのつかないことをしました。本当に申し訳ございません」

 謝罪の言葉は語気が荒く語尾を上げるため、憤りや怒りに満ちているように聞こえた。切り口上で身体を前後させるため、言葉を叩きつけているような印象を受ける。

 謝罪の意思があっても、このような口調や言い方、声音では謝罪は逆効果だ。自分の立場をわきまえていないと感じさせ、許しを請うという姿勢が見えなくなる。社長は衛生管理の甘さを認めたが、当時は生食用の肉について厚労省の規制もなければ、感染源もわからなかった。「法律で禁止すればいい。すべきです。禁止して頂きたい」と勘坂氏は訴えたが、言い方や口調のため逆ギレした責任転嫁に聞こえてしまう会見だった。

「頭が真っ白になったと……」

 マイクを通して聞こえた女将のささやきだけでも驚きだったが、その指示に従って答える息子にも驚かされた会見だ。

 平成19年(2007年)12月、食品の産地や消費期限の表示偽装事件を起こした船場吉兆が、京都のホテルで行った謝罪会見は前代未聞のものだった。

“ささやき女将”と揶揄された船場吉兆取締役の湯木佐知子氏は、記者から従業員に責任をなすりつけ、経営側に責任がないとしてきたことを問われ、うつむいていた長男、喜久郎取締役にそうささやいた。答えに詰まりうつむいたまま唇を噛んでいた息子は、女将のささやきを受け「頭が真っ白になったといいましょうか。責任逃れの発言をしてしまいました」と答えた。言い訳のない素直で率直な謝罪ができず、言わされている息子と言わせている母親では、謝罪する気持ちも反省の念もまるで伝わらない。 

 もう1つ驚いたのは、この会見がひな壇の上で行われたことだ。今ならそれだけで「謝罪する気があるのか」と非難を浴びるだろう。

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最終更新:4/22(月) 11:57
文春オンライン

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