ここから本文です

アニメ制作会社「マッドハウス」社員は月393時間働き、帰宅途中に倒れた

4/22(月) 12:42配信

文春オンライン

「定額働かせ放題」で300万円の未払い残業代

 その後、Aさんは心療内科で「心因反応」と診断される。治療を受けて、仕事をしながら約2カ月間にわたって薬を飲み続けた。なんとか回復後、ブラック企業ユニオンに加盟。団体交渉の準備を進めると同時に、ユニオンのサポートを受けながら、新宿労働基準監督署へ実名申告をした。

 そこまで身を削りながらも、Aさんの手取り給料は19万円ほどだという。時給に換算すると最低賃金を下回るレベルだ。ブラック企業ユニオンの坂倉氏が語る。

「マッドハウスは『時間外労働手当と深夜労働手当として、それぞれ50時間分の固定残業代を支払っている』としているようですが、50時間を超えて残業しても、残業代は1円も増えません。『定額働かせ放題』です。そもそも『固定残業代』について、入社前の説明は一切ありませんでした。計算すると300万円の未払い残業代が発生していると考えられます」

マッドハウスの回答は……

 現在、Aさんは会社側に対して団体交渉を申し入れている。その中では、長時間労働の是正、残業代の未払いに加えて、パワハラについても訴える予定だという。

「忙しい状況になるので、当然ですが監督や社員は怒りっぽくなります。社内で怒鳴られることもありましたし、プロデューサーからも『(ミスを)今度やったらぶっとばすぞ!』『原画がまき終わるまで家に帰るんじゃない』と言われたこともありました。きちんと認めた上で謝罪してほしいですね」(Aさん)

 原画や動画を担当するアニメーターの多くはフリーランスであり、その低報酬はかねてから問題視されてきた。しかし、マッドハウスの正社員であるAさんのような立場もまた、「働き方改革」の波から取り残されてはならない。

「アニメ制作会社のブラックぶりは一般にも知られつつあり、『業界の体質』として必要悪のように受け止めている人も多いのではないでしょうか。確かに、経営者による自発的な改善や、労基の指導にばかり期待しても、表面的な是正をされるのが関の山です。働いている労働者自身の中から少しずつ声を上げる方が出てくれば確実に変化があるはずです。

 実は現在、別の制作会社の方からも相談を受けています。 ブラック企業ユニオン は、一人から加入することができます。労働環境に悩んでいるアニメ業界の方は、まずは一度相談にきてほしい」(坂倉氏)

 マッドハウスにAさんの長時間労働、残業代未払い、今後の労働環境の改善について質問したところ、「長時間労働や賃金の支払いについて労働基準監督署からご指摘を受けました。このご指摘に従い、適正に対処してまいります」との回答があった。

3/4ページ

最終更新:4/22(月) 15:09
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい