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三女が母を言いくるめ…相続対策を怠った「社長一家」の悲劇

4/22(月) 12:21配信

幻冬舎ゴールドオンライン

超高齢社会に突入している日本では、相続や事業承継の適正化、円滑化は大きな社会課題となっている。民法、相続関連の改正、事業承継税制の改正なども、対象となる人々が正しい理解をもって活用できなければ、本質的な解決はない。※ 本記事は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』(幻冬舎MC)より一部抜粋・編集したものであり、税制など当時のものだが、「正しい知識をもち、早めの行動をする」ことの重要性がよくわかる事例として、改めて取り上げた。

自分の死は誰だって考えたくないもの

近年、相続対策に関して数多くの書籍が発行され、セミナーや相談会もひきもきらずに開催されています。しかし、資産が数億円、数十億円という資産家ほど、ご本人もどうしていいか分からない状態に陥っているケースが少なくありません。

そもそも、自分の死は誰だって考えたくないものです。 「自分が死ぬことを想定した相続対策などまっぴらごめん。必要ない」 「万が一の際は、子どもたちが好きなようにすればいい」

そう考えている方は多いのではないでしょうか。

また、重い病気などをきっかけに寿命を意識し、「そうはいっても相続対策が必要かな」 と思い直し、税理士やメインバンクに相談してみたところ、専門家によって言うことが違うので、誰の意見を信用すればいいのかと混乱することもあります。

相続対策なしでは深刻なトラブルにつながることも 

東京都内で戦後、機械部品の専門商社を立ち上げたAさんは、80歳を超えてもなお現役の社長として、毎日元気に出社していました。 

Aさんの会社は1980年代後半のバブル景気の頃、年商10億円、総資産は50億円を超えるまでになり、税務署から優良法人(年間納税額5000万円以上)の表彰も受けていました。

しかし、バブル崩壊後、ゴルフ会員権や株式投資に失敗し、資産は半分以下に減少。事業も時代の流れに乗り切れず、経営の内情は思わしくありませんでした。

そんな中、昨年Aさんが突然、心筋梗塞で亡くなってしまったのです。会社はすでに専務である長男が実質上取り仕切っていますが、相続については生前にほとんど対策をとっておらず、Aさんの死後にトラブルが噴出することになりました。

まず問題になったのは、遺産の分割です。Aさんには先妻との間に2人、今も存命の後妻との間に2人(長男もその1人)、計4人のお子さんがいます。

しかし、資産としてめぼしいものは会社の株式だけです。都内の白金、新橋などに時価8億円ほど土地を保有していますが、自宅の敷地も含めてすべて会社保有。しかも、その多くが会社の運転資金として毎年借り入れしてきた銀行融資の担保に入っています。

自社株についても、税務署の言うとおりに評価すると10億円程度になりますが、そのうち5億円分は在庫(簿価)が占めており、実際にはずっと少ないと思われました。

相続人、特に兄弟の間での話し合いは紛糾し、何とか遺産分割協議がまとまったのは、申告納税期限(相続開始から10カ月)のわずか3日前のことでした。

銀行の担保がついている不動産については、長男以外の相続人が保証人になるのを嫌ったので、わずかな預貯金を長男以外で分けるほか、担保のついていない不動産のみ共有名義にしました。

長男も自社株の相続で1億円近くの相続税が課せられ、新たに銀行から借り入れをするはめになってしまいました。

さらに問題なのは、三女(長男の妹)が認知症気味の母親を言いくるめ、母親が所有している1億円近くの金融資産の中から、長男以外の相続人に、贈与税の精算課税制度を使って1人2000万円、合計6000万円を生前贈与するという話をまとめ、実行してしまったことです。

長男だけが今のところそのことを知らず、いずれ新たなトラブルの種になることが予想されます。 

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最終更新:4/22(月) 12:21
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