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【新連載】変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「子どもは大人の顔色を窺いながら野球をしている」

4/22(月) 10:33配信

THE ANSWER

新連載「変わろう、野球――筒香嘉智の言葉」―なぜ現役ながら球界に一石を投じたのか

 横浜DeNAベイスターズの主将であり主砲の筒香嘉智外野手。今季チームを21年ぶりの日本一に牽引するべく、日々の戦いに専念する大砲だが、オフには野球界の現状に危機感を抱き、未来ある子どもたちの可能性を守るべく、勇気ある発言を繰り返している。今年1月25日には日本外国特派員協会で会見し、約1時間に及ぶ質疑応答の中で真っ直ぐな意見をぶつけた。枠からはみ出ることを恐れない現役選手による発言は、野球界に一石を投じただけではなく、スポーツ庁の鈴木大地長官にも引用されている。

「THE ANSWER」では「変わろう、野球――筒香嘉智の言葉」と題した新連載を始動。筒香の言葉から、ハマの大砲が野球界はもちろん、幅広くスポーツ界に伝えていきたい思いを紐解いていく。

 ◇ ◇ ◇

「今日の1勝よりも、将来プロ野球選手になるという夢を捨てないこと、野球を好きであり続けることだと思うんです」――野球をする子どもの「本当に大切なこと」について

 筒香が、少年野球を含めた日本球界の在り方に疑問を抱き始めたのは、2015年オフに訪れたドミニカ共和国での影響が大きい。その前年にも、以前から耳にしていた現地の様子を自分の目で見てみたいと思い立ち、現地に1週間ほど滞在。2015年には晴れてDeNAの許可も下り、ウインターリーグへの正式参加が実現した。約1か月を過ごしたカリブ海の小島で、現地の選手が伸び伸びと勝負を楽しむ姿にショックを覚えた。

「みんな野球が好きで好きでたまらないって言うんです。本当に楽しそうにプレーするし、雨で試合が中止になると本気で悔しがる。日本では試合や練習がなくなると、みんな大喜びするのに、この差は何なんだろうって思いました」

ドミニカ共和国で触れた子ども達の無邪気な姿、大人の様子を窺うこともなく…

 休養日には、現地の子ども達の練習風景を見学。数多くのメジャーリーガーを輩出する土地だけに、さぞや厳しい指導が行われているのかと思いきや、コーチは子ども達を褒めこそすれ、怒鳴ったり罵倒したりすることはなかった。

「日本では、監督やコーチが子ども達を怒るのは当たり前。教えたことをやらなかったり失敗したりすれば怒鳴り散らすから、子どもはみんな大人の顔色を窺いながら野球をしている。だから、野球教室に行っても、自分から前に出てくる子って少ないんですよ。それが、ドミニカでは正反対。子ども達が失敗しても、監督やコーチは『また次頑張ろう』って声を掛けるし、いい点を見つけて褒めている。それはみんな『次こそホームラン打ったろ』って、やる気出しますよね」

 初めて出会う日本人にも怖じ気づくことなく「一緒に野球をしよう」「キャッチボールしよう」と人懐こく近寄ってくるドミニカの子ども達。その姿に触れた筒香は「日本の子ども達が本来持つ姿も、これなんじゃないか?」と思ったという。そして、現地で指導者の言葉を聞き、根本的な違いに気が付いた。

「現地の指導者の方は、今、勝つことは重要視していないんです。大事なのは、今教えている子ども達の中から、将来メジャーで活躍する選手が何人出るか。だから、子ども達の可能性を潰さないためにも、得点チャンスで三振してもフルスイングだったら『よくやった。いいスイングだった。次は当たるように工夫しよう』って褒めるんです。肘が痛い、膝が痛いとなれば、無理をさせずに休ませる。日本の少年野球を見ると、今、勝つことにこだわり過ぎて、子ども達の将来が二の次になってしまっている気がするんです。肘の痛みを押してまで、今日の試合に勝つことが大切なのか。好きだった野球を嫌いになるまで練習させる必要があるのか。子どもにとって本当に大切なのは、今日の1勝よりも、将来プロ野球選手になるという夢を捨てないこと、野球を好きであり続けることだと思うんです」

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最終更新:8/3(土) 1:32
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