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ソニー会長を1年で退任する平井一夫の打算的な理由

4/22(月) 5:58配信

デイリー新潮

〈自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設〉

 73年前、井深大が書いたソニー(東京通信工業)の設立趣意書には、右の有名な一文のほか、少人数の会社にしたいとも書いてあった。それが、今では社員10万人以上の“世界のSONY”である。だから、同社のトップが、会長をたった1年で辞めることに皆驚いたのだ。

 ソニーの平井一夫氏(58)が会長職だけでなく取締役も辞めて、非常勤の「シニアアドバイザー」になると発表したのは3月28日のこと。昨年6月には27億円もの役員報酬で世間を驚かせたが、最初からソニーマンらしくなかったとOBが振り返る。

「ソニーの本流はやはりエレキと呼ばれるAV製品を作る技術者たちです。しかし、平井さんのキャリアはまったくの異色。関連会社のソニー・ミュージックを振り出しに、アメリカのゲーム子会社で販売・マーケティングを長く担当し元会長のハワード・ストリンガーに引き立てられた。7年前に社長になったときも当初はソニー・アメリカから給料が出ていたと聞きました」

 しかし、時代は平井氏のようなタイプを求めていた。社長に就任した2012年は4566億円の最終赤字で、経営はどん底。

「平井さんは忖度などしないドライな性格です。社長に就いて、まずやったことは、約1万人の社員のリストラでした」(別のOB)

辞める理由は

 そのやり方は今も語り草である。「キャリア開発室」などという名の部署に3千~4千人が追いやられ、一日中、何もしてはならず、私語も禁止された。自主退職を迫る有名な「追い出し部屋」である。さらに、赤字のパソコン事業(VAIO)も売り払い、祖業のテレビも分社化した。

「選択と集中」と言えば聞こえはいいが、苛烈なリストラの一方で、膨れ上がったのが平井氏の収入だ。

 別のOBによると、

「ソニーでは長らく、社長であっても井深さんが貰っていた報酬を超えてはいけないという不文律がありました。さすがに出井(伸之)さんやストリンガー氏の時代には超えていましたが、そっと増やしてゆくもの。ところが、平井氏が社長就任の年に受け取ったのは約1億5千万円。その後、報酬はどんどん上がり、昨年には27億円に達したというわけです」

 それもあって、OBからは不評だらけの平井氏だが、会長を1年で辞めるのも平井氏なりの計算があるという。

「今年度決算でソニーは約8350億円の純利益を予想していますが、これにはカラクリがある。同社が出資していた『スポティファイ』という音楽ストリーミングサイトの上場益が大きく底上げしているのです。一方で事業別に見れば、AV部門は横ばいで、金融も落ち込んでいる。赤字のスマホ事業が人員を半分に減らすのは報じられたとおり。得意のゲームもグーグルなどが猛追している。言うなれば今が“名経営者”として辞められる時なのです」(経済部記者)

 というわけで、35年いたソニーに別れを告げる平井氏は、今後どうするのか。平井氏を知るジャーナリストの片山修氏が言う。

「もう十分稼いだからすぐにビジネスはしないと思います。平井さんは財界活動が嫌いで趣味は自転車ときている。体型を保つために炭水化物を口にしないので、食事の付き合いもやりたがらない。日本に未練はないのでまずは奥さんがいるアメリカに戻るでしょう」

 日本では恨み節の合唱で、居づらいのだろうなんて声も。

「週刊新潮」2019年4月18日号 掲載

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最終更新:4/22(月) 5:58
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