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平成10年、万年Bクラスのホークスを率いる王監督が思わず漏らした「本音」。

4/22(月) 11:01配信

Number Web

平成の30年間、野球取材の最前線に身を置き、「Sports Graphic Number」に寄稿を続けてきた日本を代表するベースボールライターが、これまで手がけた作品を「1年1人」のコンセプトでピックアップした『平成野球 30年の30人』が発売中。今回は、その30本の中から平成10年(1998)の作品を特別公開する。

【写真】平成の英雄イチローは高校時代投手だった。

世界のホームラン王・王貞治は、現役引退後巨人の監督を5年務めたのち、平成7年、福岡ダイエーホークスの監督として球界に復帰した。ホークスは当時、20年以上優勝から遠ざかり、万年Bクラス球団として飛躍の緒をつかめずにいた。王ダイエーも、5位、6位、4位となかなか結果が残せない。そんなタイミングでのインタビュー。常勝軍団・ジャイアンツの野球を知る王監督の、当時のホークスへの「本音」が炸裂した――。(Sports Graphic Number 441号収録)

 去年の7月の終わりかな。福岡ドームのロッテ戦で、武田一浩がジェイソン・トンプソンに一発打たれてね。あの瞬間、ガラスにピシッとヒビが入った感じがしたんだよ。そこまで、一生懸命、積み上げて、積み上げて、そこまでやってきたものが、ガラガラガラと煉瓦が崩れるみたいに崩れてね……あの感じ、まさに、砂上の楼閣という感じだったな。去年の武田は開幕投手だし、それだけの期待をしてたでしょ。彼は、俺にとっては下柳剛を出してまで獲った選手だったし、思い入れもあったからね。

 <昨季、オールスター明けの近鉄戦に3連勝を飾って、首位オリックスに1・5ゲーム差。王ダイエー、悲願の初優勝に大接近を果たした、まさにその直後のことだった。7月29日のロッテ戦、武田が浴びた一発から、まさかの逆転負け。この日以降、王ダイエーは転がる石のように、アッという間に優勝戦線から後退してしまった。手が届きそうで、決して届くことがない1・5差。周囲はただの一敗と受け止めていても、厳しい勝負の世界で己れを研ぎ澄ませてきた王貞治は、あの瞬間本能的に、己れのチームの脆さを感じ取っていたのである。>

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最終更新:4/22(月) 13:51
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