ここから本文です

マルコ・ロイス。彼がいたら、と言われ続け…29歳、今、史上最高

4/23(火) 12:40配信

footballista

“自分の体は年間60試合もたない、という現実を受け入れたんだ”

Marco Reus
マルコ・ロイス
FW11|ドルトムント
1989.5.31(29歳) GERMANY

文 木崎伸也


 多くのケガに泣かされ“Pechvogel”(運の悪い人)と呼ばれた男が、29歳にしてキャリア史上最高のパフォーマンスを見せている。

 マルコ・ロイスは今季のブンデスリーガ前期(前半戦17節)に11得点7アシストと大爆発し、選手たちが投票する『キッカー』誌のアンケートで前期MVPを受賞。昨年11月のバイエルン戦では2得点を挙げただけでなく、両チームの中で最も運動量が多い選手になった(12.5km)。首位争いを続けるドルトムントの大きな原動力になっている。

 これまでにロイスは、大きな大会のたびに負傷離脱を繰り返してきた。まずは2014年W杯の直前。ドイツがブラジル出発前に行ったアルメニアとの親善試合で、足首の靱帯を痛めて急きょメンバー外に。EURO2016前には長らく恥骨炎と内転筋のケガに悩まされ、メンバーに選ばれなかった。

 悲劇はこれで終わらない。2017年5月のDFBポカール決勝、フランクフルト戦では右膝を痛めてハーフタイムで交代。後十字靱帯の部分断裂と診断されて手術を行い、約7カ月間プレーできなくなった。

手術後の「とてつもない孤独」

 なぜこれほどケガが多いのか? 真の原因は不明だが、筋力が人より強く、シュートの際のダメージが大きいと言われている。強烈なミドルシュートは武器だが、諸刃の剣でもあるのだ。

 『南ドイツ新聞』は「ドイツで最も仮定法が使われる男」と名づけた。“もしあの大会でロイスがいたら……”と誰もが思うという意味だ。

 膝の手術の4カ月後、ロイスは『GQ』のインタビューで当時の思いをこう吐露している。

 「あのDFBポカール決勝は、まさに天国と地獄が同時に訪れた感じだった。ドルトムントは優勝し、僕にとって初めてのタイトルになった。膝に痛みを抱えながらも、うれしくてチームメイトたちとともに祝福した。しかし翌日、ベルリンからドルトムントに戻って病院で検査を受けると、重症であることがわかった。午後に優勝パレードを控えていたのにね。興奮してアドレナリンも出ていたから、最初は現実とは思えなかった。でも手術後に、ようやく現実だと理解したんだ」

 ロイスは一人で涙を流したという。

 「まず決勝のハーフタイムに、ロッカールームで涙が流れた。その2、3日後、すべてを思い出してもう1度泣いた。でも、こう思ったよ。こんな時には、自分の感情を外に吐き出してしまうことも大事だってね」

 選手が靱帯を手術した時、最も大切なのはリハビリだ。マッサージや軽い負荷によって損傷部の血流を促しつつ、同時に他の筋肉が衰えてしまわないようにトレーニングを行う。サッカーのプレーに比べると、地味で単調な作業だ。

 「とてつもなく孤独だった。もちろんリハビリのトレーナーがいるのだけど、ピッチで約25人の仲間たちとボールを蹴るのとは違う。自分で自分を奮い立たせなければならない。3週間で途方に暮れた。4カ月後もまだ走れないことをわかっていたから。とても消耗したきつい時期だった」

 そんな時、助けになったのが恋人と家族だった。

 「恋人や家族が辛い時に励ましてくれた。彼らがいなかったら、心が壊れてしまっていたと思う」

1/2ページ

最終更新:4/23(火) 12:40
footballista

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊フットボリスタ

株式会社ソル・メディア

Issue 072
8月10日(土)発売

定価980円(税込)

[特集]
19-20欧州各国リーグ展望
53人の要注意人物

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事