ここから本文です

選挙の日に歩いた桜咲く渓谷と平成の町

4/23(火) 19:30配信

ニューズウィーク日本版

◆桜咲き誇る桂川河川敷

藤野駅をスタートしてからここまで、交通量の多い国道を避けてなるべく裏道の県道と市道を歩いてきた。その分、アップダウンが激しいくねくね道が多いが、町の人と会話を交わす機会にも恵まれやすい。山梨県に入って間もなく、旧甲州街道の関所跡の先の集落で、水路の土手にきれいに植えられた芝桜に迎えられた。写真を撮っていると、それを植えた御婦人に声をかけられた。村の花だよりを尋ねると、今は上野原駅に向かう途中の桂川の土手の桜並木が見事だと教えてくれた。早速、ルートを変えてそちらに向かうことにした。

果たして、桂川の豊かな流れと延々と続く桜並木のコントラストはなかなか見事であった。東京あたりなら、たちまち花見客が押し寄せる一大名所になっていそうなロケーションだ。しかし、花盛りの土曜日なのに、河原には何組かの子連れのママさんたちとボールを追うサッカー少年たち、数人の釣り人がいたくらい。僕らも河原に腰を下ろし、贅沢な休憩時間を過した。

日帰りで繋いでいく旅だとはいえ、歩いてここまでやってくると、余計に都市部と地方のコントラストを実感する。東京で近年人気の桜の名所と言えば、中目黒あたりの目黒川沿いだが、スケール感はこの桂川の桜並木とは比べるべくもない。もちろん、今や都内有数のオシャレな街で見る桜に、独自の代えがたい魅力があるのはよく分かる。一方で、幼い頃、当時は「世界一汚染された川」と言われた目黒川の悪臭に苦しみながら幼稚園に通っていた元地元民としては、わざわざ人混みにもまれながらそこで花見をする気にはなれない。

◆心温まる田舎の風景

ここまで来ると、川にいる釣り人もブラックバスから渓流魚狙いに変わっていた。いよいよ本格的に自然と共生できそうな風景が広がっていく。上野原の中心部を抜けて国道に出ても、自給自足ができそうな畑の一角にある鶏小屋や、見事な桜と花桃の木に彩られた旧家の佇まい、番犬が威勢よく吠える軒先、いい具合に色あせた木製の鳥居がある神社など、大都市近郊ではなかなかお目にかかれないホッとする風景が続いた。

3/5ページ

最終更新:4/23(火) 20:34
ニューズウィーク日本版

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2019-7・ 2号
6/25発売

460円(税込)

【特集】残念なリベラルの処方箋
日本でもアメリカでも存在感を示せない「リベラル」 対抗軸として政権担当能力を示す方法は?

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事