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相続税対策のつもりで「収益不動産」を建築すると失敗するワケ

4/23(火) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

超高齢社会に突入している日本において、相続のあり方は大きな社会的課題となっている。民法、相続関連の改正なども、対象となる人々が正しい理解をもって活用できなければ、本質的な解決はない。本記事では、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』(幻冬舎MC)より一部抜粋・編集し、相続税対策としてよく活用される「所有する土地への賃貸マンションやアパートの建築」について留意点を取り上げた。税制などは当時のものだが、不動産建築・購入を利用した節税スキームを不用意に行うリスクに変わりはない。

節税を優先させることの危険性

なぜ安易な相続対策で失敗するのか。それは、逆説的ではありますが、節税を気にするあまり、収益性を無視して賃貸マンションやアパートを建ててしまうからです。
私たちは20年以上前から相続税対策のコンサルティングを行っていますが、長期的に見た賃貸需要が厳しい立地で、賃貸マンションやアパートの建築をお勧めすることはありません。

そういう立地に賃貸マンションやアパートを建てると、いずれ空室率の増加や賃料の引き下げ、修繕費の増加などで経営がうまくいかなくなるだけではありません。土地建物の資産価値自体がどんどん目減りしていくのです。

遊休地に賃貸マンションやアパートなどを建てると、遊休地の更地価格と建物価格を合計した価値があるように思えます。しかし、実際に売ろうとすると、遊休地の更地価格よりも安くなりがちなのです。賃貸マンションやアパートなど収益不動産(建物とその敷地)は、市場においては収益性で評価されるからです。

例えば、更地価格1億円、建物価格1億円、合計2億円だとしても、その土地建物から得られる年間賃料が300万円だとします。市場において収益不動産に期待される利回りが5%だとすれば、この土地建物の評価額は、
300万円 ÷ 5% = 6000万円 となります。合計2億円と思っていた土地建物が、市場ではたった6000万円でしか売れないのです。

「なぜ?」と思われるかもしれませんが、収益不動産を購入しようと考えるのは通常、不動産投資を目的とする投資家です。投資家にとって購入価格の妥当性を判断するのは、あくまでも投資利回りであり、更地価格や建築費がいくらになるかは関係ありません。

投資目的ではなく、自宅を建てるために購入しようという買い主がもしいたとしても、その場合は現在ある賃貸マンションやアパートを取り壊す前提で購入価格を判断することになり、やはり更地価格と建物価格の合計、2億円で買うことは通常あり得ません。

このように、十分な収益性が見込めない賃貸マンションやアパートを建ててしまうと、更地価格より安くなり、売却してもみすみす損するだけです。特に、相続税の納税用にとっておいたような土地の場合、その結末は深刻です。売却しても納税資金が足りず、不足分を大至急用意するために、所有している中で最も立地のよい土地や、先祖代々受け継いだ自宅を売却しなければならなくなったりするのです。

同じ相続対策でも、あまり条件のよくない遊休地から思い切って事前に売却し、その代金で好立地にある利回りの高い収益不動産を購入しておけば、こうした問題は起こりません。一棟ではなく、一戸単位で複数の物件を購入しておけば、相続人間での分割もスムーズに行えます。

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最終更新:4/23(火) 11:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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