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中国・アリババの最先端ホテルに泊まってわかった、そのヤバい実力

4/23(火) 10:01配信

現代ビジネス

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進化と発展を繰り返し、社会を一変させようとしている世界の最先端デジタル企業。その最前線を活写した『GAFA×BATH 米中メガテック競争戦略』著者である立教大学ビジネススクールの田中道昭氏は、いま中国・杭州の「アリババパーク」に注目しているという。田中氏が実際にその最先端ホテルに宿泊してわかったのは「アリババ」が描く壮大な近未来都市の全貌と、同社の知られざる実力――。現地発、中国最強企業・アリババの最新レポート! 
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アリババパークで見た最先端ホテルの衝撃

 そのホテルは入り口からSFだった。

 「2001年宇宙の旅」や「スターウォーズ」のスペースコロニーを思い起こさせる作りで、ハリウッド映画の影響をふんだんに受けたデザインだ。ただしこのハイテクホテルがあるのは、ハリウッドでもシリコンバレーでもない。中国の杭州市である。

 中国EC最大手のアリババは、昨年11月に近未来ホテル「FlyZoo Hotel」をオープンさせた。アリババとしては初めての試みとなるこの近未来ホテルは、中国のEC事業で蓄積されたノウハウとAI×ビッグデータの技術の結晶である。それを体験するために筆者は3月、アリババの本拠地、杭州を訪問した。

 そのホテルではチェックインの手続きから、従来のホテルとは一線を隔している。ホテルの案内係と陽気にあいさつを交わすことはあっても、チェックインカウンターで自分の氏名や住所を書き込むことはしない。顧客が最初に行うのは、まず専用アプリをダウンロードすること。そしてロビーに設置された端末やスマホで自分の顔を撮影することだ。専用アプリは決裁アプリであるアリペイに連動しており、それでチェックインは完了する。

すべて顔認証、ロボットが動き回る

 次に、慣れない人ならまず「ルームキー」が手渡されないことに戸惑いを感じることだろう。しかし、そのなぞはホテルの部屋にたどり着くまでに概ね解消される。

 エレベーターに乗ると設置されたカメラに自身の顔が認識される。こうして初めて行き先階のボタンを押すことができる。部屋に到着するとカメラの前に自身の顔を映し出せば、解錠され入室できる。エレベーターや部屋以外にもホテルのフィットネスクラブに入室するのも顔認証。宿泊客や関係者以外は侵入できない強固なセキュリティで守られているのだ。

 ホテル内の支払いはすべてアリペイで決済が行われる。ホテルの自動販売機もアリペイを使ってドリンクを取り出せば、同時に決済も完了する。小銭をジャラジャラとさせて、投入する必要などないわけだ。もちろんレストラン、バーカウンターでもアリペイで決済され、ルームサービスも同様である。キャッシュレス大国を牽引したアリババの真骨頂だ。

 またルームサービスを注文すると近未来ホテルの趣向を堪能することができる。スターウォーズの「R2-D2」のようなロボットが品物を運んできてくれるのだ。こうしたロボットはホテルのいたるところで仕事をしていて、ホテルのバーのオープンカウンターで活躍しているのはロボットバーテンダーだった。

 圧巻なのは宿泊ルームの快適さである。グーグルの「グーグル・ホーム」、アマゾンの「アマゾン・アレクサ」と同様のスマートスピーカーが各部屋に置かれている。アリババが培った汎用AI、「アリOS」が搭載された「Tmall Genie」だ。

 「カーテンを開けて」と言えば、カーテンが開く。「クーラーをつけて」と言えば、空調が作動する。部屋の明かりを暗くしたい、ラジオや音楽を聴きたい、そんな願いは「Tmall Genie」に話しかけるだけでかなってしまうのだ。いまはまだ中国語オンリーだが、それはアリババの音声認識のベースとなるビッグデータが中国語中心だからという理由だろう。今後は多言語にも広がりを見せられるかが課題だ。

 こうしてFlyZoo Hotelに1泊でもすれば、アリババのAI技術に圧倒されることになるだろう。その実力を十分推し量ることにもなり、ひいては今後のアリババのビジネスの行方を占うことにも役に立つ。

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最終更新:4/23(火) 10:01
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