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マンU、エバートン戦大敗の原因は? 「クソみたいなプレー」にOB激怒…一体何が起こったのか

4/24(水) 10:10配信

フットボールチャンネル

 マンチェスター・ユナイテッドは現地時間21日、プレミアリーグ第35節でエバートンと対戦。CL出場権獲得のため負けられない一戦だったのだが、結果的には0-4の大敗を喫してしまった。試合後にはクラブOBのギャリー・ネビル氏が「クソみたいなプレーしやがって」とコメントするなど内容も最悪。赤い悪魔に一体何が起こったのだろうか。(文:内藤秀明)

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●最悪の内容で大敗

 エバートン対マンチェスター・ユナイテッドの一戦、筆者は東京のとあるブリティッシュパブで20名ほどのユナイテッドファンと一緒に試合を見ていた。ファン向けのイベントなどを主催する「マンチェスターユナイテッド・サポーターズクラブ・ジャパン」というクラブ公認のファン団体を運営しているからだ。

 ただ、はっきり言おう。今回の観戦会、主催者としては悲しいが、試合後は過去にないレベルで暗い雰囲気になっていた。ユナイテッドがなす術なく4点も決められて、敗戦を喫したからだ。

 過去の観戦会でもユナイテッドが負けたことは何度もある。今シーズンでいうと昨年9月に行われ、1-3で敗れたウェストハム戦も暗い雰囲気で解散した。ただ今回ほどの悪い空気ではなかった。

 というのも当時はジョゼ・モウリーニョ政権末期だったということもある。敗戦は辛いと言えば辛いのだが、期待していなかった分、精神的なダメージも少なかったように思う。「(ウェストハム・)ユナイテッド勝ってるね~」などと、自虐的に笑いながら試合を見る余裕が参加者にはあった。

 しかしエバートン戦後の参加者はほぼ全員が無言。

 前任者に比べて期待度の高いオレ・グンナー・スールシャール政権が最悪の内容で大敗。エバートン戦が終わった時点では、ユナイテッドはチャンピオンズリーグ(CL)圏内確保が絶望的になったという事実も、ファンの落胆を加速させた。

●わずか13分で崩れた思惑

 さて試合内容自体を振り返ると、もともとスターティングイレブンが発表された時点で、ユナイテッドは攻撃で苦しむことが目に見えていた。

 最終ラインで唯一ボールを落ち着かせることができるルーク・ショーが出場停止で不在にもかかわらず、2CBは足元に難があるクリス・スモーリングとフィル・ジョーンズのコンビをチョイス。そしてアシュリー・ヤングを休ませて右サイドバックには本職ではないビクトル・リンデロフを配置した。この時点で最終ラインからのビルドアップが絶望的であることがわかる。

 加えて前線はロメル・ルカク、アントニー・マルシャル、マーカス・ラッシュフォードの3枚。フアン・マタやジェシー・リンガードのような中盤と前線を繋ぐリンクマンとなれる存在がおらず、攻撃の展開をほぼポール・ポグバに依存することは明らかだ。

 そんなことはスールシャール監督もわかっていたはず。それでも直後のミッドウィークにマンチェスターダービーがあることを考えると、どうしてもベストメンバーを組めなかったのだろう。疲労や出場停止など様々な制約条件の中で確実に勝ち点3を拾うために、守備的な選手選考と配置でロースコアゲームに持ち込みたかったのだろうが、その思惑は13分で崩れる。

 両チームのレジェンドであるウェイン・ルーニーのチャントがエバートンの本拠地グディソンパークにこだました直後だった。リュカ・ディーニュがロングスローを放り込むと、ドミニク・カルバート=ルーウィンがスモーリングに競り勝つ。するとそのこぼれ球をリシャルリソンがバイシクル気味ボレーを放ちネットを揺らした。

 ウェイン・ルーニーと言えば、2011年2月のマンチェスターダービーで美しいバイシクルシュートを決めたことでも有名だが、そんな偉大な先人を彷彿とさせるシュートをダービー直前に決められてしまう。そんな皮肉な幕開けとなった。

●ありえない個人的なミスが頻発

 その後、ユナイテッドは試合終盤まで枠内シュートすら放てないほどに、凡庸な攻撃しか披露できず大量失点した。客観的に見ても1点目のバイシクルや、2点目のギルフィ・シグルズソンのミドル、3点目のディーニュのミドルはスーパーだったため、運が悪かった部分もある。

 実際、個の能力は換算されないがシュートを放った状況から推定する「失点期待値」でいうとユナイテッドは1.52点しか奪われていない。2.48点分はエバートンの選手たちが素晴らしかったと言える。

 とはいえ失点のシーンでは、どれも個のイージーなミスが目立ったことも事実だ。例えば1点目の場面ではなんでもないロングスローだったのだが、スモーリングは落下地点を見誤った。結果、簡単にカルバート=ルーウィンに先に触られてしまったのだ。

 2点目の場面では驚くほどネマニャ・マティッチのシグルズソンへのマークが甘かった。怪我明けの試合ということもあって、勘所がつかめていなかったのかもしれない。3失点目、4失点目も同様だ。このレベルではありえない個人のミスが多々起こった。

 それでいて運動量も少なく、得点の匂いを一切感じられないのだから選手たちは批判を免れない。試合終了直後、スールシャールは責任を感じたのかアウェイの地まで駆け付け試合終盤も「オレたちゃ死なねえ! ユナイテッドを愛してる!」と叫び、チームを応援し続けたファンたちに謝罪した。

 なお選手たちもディオゴ・ダロトとスコット・マクトミネイは最後までピッチに残りファンに謝罪するかのように手を挙げ続けたが、ポグバは誰よりも速くロッカールームに戻って行ったという。

 これを受けてクラブOBのギャリー・ネビルは「ふざけるな。俺はブチ切れだ。クソみたいなプレーしやがって。監督に謝らせるなんて選手にとっては恥だね。モウリーニョは何人かの選手たちのことを信頼しなくなったそうだけど、こんなパフォーマンスならスールシャールもいつかそうなるね」と選手たちを批判するコメントを残している。

●CL出場へ向け、求められるのは?

 実際、ダビド・デ・ヘアは「エバートン戦のパフォーマンスは、ユナイテッドのシャツを着てプレーする選手として相応しいものではなかった」と語り、ポグバも「油断していたわけでも、エバートンをなめてかかったわけでもない。ただチームも俺もクラブやファンのために頑張り切ることができなかった。重要なのはピッチ上でのメンタリティだ。改善しなければならない」と内省するコメントを残している。パフォーマンスが悪かったことは誰よりも選手たちが痛感している。

 ユナイテッド目線で言うと幸いなことに、その後の試合でアーセナルはクリスタル・パレスを相手に2-3で敗戦を喫し、チェルシーもバーンリーを相手に2-2。4位争いのライバルがのきなみ勝ち点を落としたため、CL圏内確保に関して首の皮一枚繋がった。

 ただいずれにしてもかなり厳しい状況に変わりない。残り4試合で4位との勝ち点差が3なのだが、シティやチェルシーとの対戦をユナイテッドは残しているからだ。これらの難敵を倒すためには、ポグバの言う通り、勝つためにハードワークする姿勢を取り戻すことは必要不可欠だ。

 もともとモウリーニョが解任された段階では、CL圏内なんて夢のまた夢だった。それを争えるところまで引き上げたのはスールシャールであり、彼への評価がこの敗戦で途端に揺らぐわけではない。

 ただ4月に入ってからは監督どうこうというより、選手たちがのきなみコンディションを落としている。とはいえそんな難しい状況だからこそ、スールシャール監督のモチベーターとしての手腕が問われる。戦術的にはトップレベルでもある程度戦えることはこれまでの結果でわかった。あとはここぞというタイミングで選手たちのモチベーションを上げる部分だ。

 その重要性はサー・アレックス・ファーガソンの薫陶を受けているスールシャールなら嫌というほどわかっているはず。ダービーに向けて、選手たちの勝者のメンタリティを少しでも伝え、高いモチベーションで90分間戦えるよう導くことはできるのか。

(文:内藤秀明)

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最終更新:4/24(水) 10:10
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