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敗色濃厚の中国不動産業、海外巨大事業もピンチ

4/24(水) 12:13配信

Wedge

 そもそもフォレストシティとはどんなプロジェクトなのか。マレー半島の最南端、シンガポールに隣接しているジョホールバルでは、イスカンダル経済特区という大規模な都市開発が進められていた。その中でも最大のプロジェクトがこのフォレストシティだった。碧桂園は今後20年間で1700億リンギット(約4兆3900億円)を投じ、14平方キロメートルの土地(ほとんど人工島)に都市を作り上げる計画であった。

 政治色の強い不動産開発案件が、政治的理由によって妨害されることは驚くに値しない。そもそも経済も産業も、政治的な目線で俯瞰しなければならない。

崩れゆくマレーシアの中国人街

 昨年6月、私はジョホールバルへ出かけた。目的は、フォレストシティの視察である。私が実際に見て感じた問題を以下に3つ記したい。

 ひとつは、ヒトの問題。計画によると、フォレストシティ内の人口は2050年までに70万人に達すると想定されている。この規模の人口はどこから沸いて来るのか。シンガポールへの通勤を前提に考えるなら、いまの出入国・通関はすでに限界に達している。ボーダー(国境検査場)を増やしたくらいでは到底追いつかない。

 それでは、移民という方向はどうだろう。多くの中国人は私財を海外に出そうとしているが実際に海外に住むとなると、ノーという人は多い。シンガポールを眺める人工島上で余生を過ごしたい中国人は、いったいどれだけいるのだろうか。また、仮に数十万の中国人が移民してくることになれば、マレーシア国内で大きな政治問題となるはずだ。

 次に、環境問題。人工島造成をはじめとする工事によって、マングローブが大量に伐採された。これだけの大変動に生態系は堪えられるのか、環境学の専門家ではないので掘り下げたコメントはできないが、素人目に見ても憂慮せずにいられない。

 最後に、金の問題。中国系のデベロッパーでないと、これだけの巨大投資はできない。とはいえ、無尽蔵に資金が沸いて来るわけでもない。現時点で出来上がっている人工島(写真 赤線枠)は計画のわずか一部に過ぎない。キャッシュフローは大丈夫か。他人事ながら心配せずにいられない。

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最終更新:4/26(金) 13:06
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