ここから本文です

アウディ「100クーペ」をワイドボディに改造…ポルシェ「928」の開発史

4/24(水) 22:20配信

エスクァイア

 自動車メーカーがまったく新しいプラットフォームを開発する場合には、前モデルをベースにミュールカーをつくることはしません(ちなみにミュールカーのミュールとは「mule」であり、動物の「ラバ」のこと。ラバはロバとウマを交配させた雑種であり繁殖力がありません…よって、 「開発中のパワートレイン」と「ボディ(+シャーシ)」を合体させたプロトタイプ(雑種で繁殖力がない)なので「ミュール」と呼ぶようです)。そのため2008年にマクラーレン・オートモーティブの開発車両は、フェラーリ「360s」2台と「アルティマGTR」1台を参考にしていました。

《 ギャラリー 》ポルシェ「カイエン」シリーズに、スポーティーなクーペSUVが新登場

 そしてポルシェも、1970年代初めは同じ状況であったようです。1972年、メーカー初となったV型8気筒エンジンは、「高級グランツーリスモである『928』に搭載することになる」と、ポルシェは決めていました。リアまたはミッドシップの空冷エンジンで有名だったポルシェは、未知の領域へと足を踏み入れようとしたのです。

 そうして1977年のジュネーブモーターショーでデビューした「928」ですが、そこにたどり着くまでにはポルシェはアウディを何台か、そしてメルセデス・ベンツを1台、さらにオペルを1台購入し、ミュールカーをつくるために分解・研究する必要があったのです。

 ユリウス・ヴァイトマン氏とリコ・シュタイネマン氏がまとめた「928」についての素晴らしい本によると、V8フロントエンジンの開発はドイツの高級オープンカーである、メルセデス・ベンツの「SLクラス」から始まったそうです。

 「V1」というコードネームで、1972年7月に始動したこのプロジェクト。ポルシェは「SLクラス」を使って「928」のトランスアクスルを開発しました。初めはオリジナルのエンジンと3速のオートマチックギアボックスが使われていましたが、1974年に4.5リッターのV8エンジンにアップグレードし、フロントミッドに搭載しました。

 次にミュール「V2」は、オペルのセダン「アドミラル」がベースです。「928」の車台にオパルのドライブトレーンが使われていましたが、コーナリングを安定させるため、のちに「ヴァイザッハ・アクスル」と呼ばれるパッシブ後輪操舵にアップグレードしたのです。

 で、「V3」は…と言うと、3台のアウディのうちの「100クーペS」を使用したそうです。もともと1.9リッターの4気筒で、115馬力のエンジンを搭載していたクルマです。ポルシェはこれにホイールハウジングを交換し、サスペンションの位置を変え、巨大なフェンダーエクステンションを取りつけました。これはこのアウディが、V8ドライブトレーンと「928」の広い車幅に対応できるようにするためでした…。

 そうして「V3」はアフリカで2回、そして南フランスのモン・ヴァントゥで1回、長距離のテストランを行いました。続いて1975年には、オートマチックギアボックスにアップグレードされたのです。

1/2ページ

最終更新:4/24(水) 22:20
エスクァイア

記事提供社からのご案内(外部サイト)

エスクァイア

ハースト婦人画報社

1933年にアメリカで誕生した
ハイエンド・ファッション雑誌です
ファッションやライフスタイルにとどまらず
アート、カルチャー情報などを届けます

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事