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センバツ優勝の東邦に完投勝利。中部大一の謎の剛腕は控えめ男子だった

4/24(水) 7:50配信

webスポルティーバ

 バックネット裏スタンドに微妙な空気が広がった。ある観客は「ナメとんな」と憤り、またある野球関係者は「センスがある証拠ですよ」と称賛した。

■すでにプロ10球団がマーク。福井の公立校に最速145キロ左腕出現

 4月21日の春季愛知県大会2回戦・中部大一対西尾東(熱田愛知時計120スタジアム)。5回途中からマウンドに上がった中部大一の磯貝和賢(かずよし)は、明らかに力をセーブして投球していた。

 イニング間の投球練習からして、軽いキャッチボールの延長のよう。打者がバッターボックスに入っても、ランナーがいなければ体を緩ませてカーブで打たせて取ろうと試みる。得点圏までランナーが進むとフォームの強度を上げ、際どいコースに力強いストレートや変化球を投げ込み、ピンチを切り抜ける。そうやってスコアボードに「0」を重ねていった。試合は6対1で中部大一が快勝。昨夏の東愛知大会で準優勝に輝くなど、上位進出常連校になった西尾東を下した。

 昨夏は吉田輝星(金足農→日本ハム)の「ギアチェンジ投法」が話題になったが、磯貝の「省エネ」ぶりはその比ではないほど落差が激しい。

 身長184センチ、体重86キロの立派な体躯に、気の強そうな顔つき。最高球速は143キロだという。いかつい風貌の剛腕が人を食ったような投球をしていれば、「ナメとる」と思ってしまう心境も理解できる。

 だが、それは大きな誤解である。なぜそんな不幸な誤解が生まれたかといえば、原因は磯貝の実戦経験の少なさにある。

 この前日、磯貝は大仕事をやってのけていた。17日前に選抜高校野球大会(センバツ)で優勝を飾ったばかりの東邦を相手に、1失点完投。大金星を挙げたのだ。

「東邦、敗れる」というセンセーショナルな情報が駆け巡った一方で、抑えた磯貝がどんな投手かはあまり広く伝わらなかった。だが、もっと驚かれていいことだと思う。なにしろ磯貝にとって、この東邦戦が初めて9イニングを投げ切った試合だったのだから。

「これまで投げても1イニングばかりで、最高でも6イニングとか。東邦戦は練習試合を含めても初めて9回を投げたので、だいぶ疲れました。全力じゃないと抑えられない相手ですから、ほぼMAXで投げました」

 東邦戦は123球を投げ抜き、連投となった西尾東戦では57球。磯貝は苦笑しながら、疲労を口にした。

 磯貝の高校野球生活は、大半がケガとの戦いに占められていた。本人がそのケガ遍歴を明かしてくれた。

「1年生の夏休みに左足の足首を手術して、1年間ほとんど(プレーを)やっていません。あとは去年の冬にヒジを痛めたり……。まともにプレーできるようになったのは、今年の春からです」

 語り口はいたって落ち着いている。磯貝は「見た目が怖いってよく言われるんです」と自嘲気味に笑うが、実際は穏健派だという。高校進学の際に別の高校も選択肢に挙がったが、「ヤンキー学校という噂を聞いて……」と進学を断念している。中部大一の佐藤吉哉監督は「『気は優しくて力持ち』というタイプですよ」と磯貝を評する。

「言われたことをキチッとやりますし、控えめで目立とうとしない子です。練習でも『投げたいヤツいるか?』と聞いても、磯貝は人に譲ろうとする。マウンドに上がった時だけどっしりしているんですよ」

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最終更新:4/24(水) 7:50
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